atosaki 3 ページ3
【kaoru】
何度も来すぎてノールックで押せるようになったAの部屋番号を押し、インターホンを鳴らす。
ぱっと見は社宅じゃね？という見てくれの建物だが、セキュリティは結構ちゃんとしていて、室内から解除しないと建物どころか敷地内にも入れない。男勝りでサバサバしてるから普段は全く感じないけれど、この時だけは、アイツの家は結構裕福だったということを思い知る。
部活の同期3人で、アイツの宮城の実家にお邪魔したこともあるし、父ちゃんも弟もいい人だったから、お金持ちだからどーとかってのは全く無いんだけどね。
『ガチャン』
・・・オイコラ。
お前がノールックで解除してんじゃねーよ。俺じゃなかったらどーするんだよ、アホ。
ひとことじゃ済まないくらい文句言ったろと思って、3階にあるAの部屋のインターホンも押してやると
「開いてる！！！」
と、バカでかい声。
ああ、もう、コイツダメだ。
【you】
「なんか機嫌悪くない？」
「悪くねーよ」
「ならいいけどさ」
ブスっとした表情で、山盛りの炒飯に食らいつくカオル。手元にはジャックダニエルの水割り。先輩に飲まされて嵌ってしまったので、メシの代金はだいたいコレで払って貰っている。
「ツマミ居る？ちょっと前に春休みのバイトの件で学童に行った時に、先生が茄子を大量にくれて。揚げびたしだったら作ってあるけど」
「お前最高だな！」
あ、機嫌戻った。
「つか、春休みもバイトやるんだな」
「うん。できれば夏休みまではやりたいんだけど、試験勉強もあるし悩んでる」
「実習終わってるなら大丈夫じゃね？」
「そう思いたい」
長期休暇だけやらせて貰っている、学童保育のアルバイト。小学校が休みの時期は学童の開所時間が長くなるので、普段の先生たちでは回りきらず、補助員が必要になる。1年生の夏休みからずっと続けている、ライフワーク的アルバイト。
「大学生活もあと1年かあ、早いな」
ホントだよ。
炒飯を作った中華鍋やら皿やらを片付けて、私もジャックダニエル片手に座る。
「そーだ、今年の新入生勧誘、お前どーするよ？」
「・・・どーする、とは？」
「いや、女子お前しか居ないんだから何かやれ」
去年越え必須でな、とニヤニヤするカオル。
「ひとりは絶対に嫌だ！」
そう、2016年春の新入生勧誘。
あの日から私はジャニーズ事務所の王子様系アイドルに謎にロックオンされることになったのだ。
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あと3つ？でケンティー出ます(前置き長っ)
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作者名：tamami | 作成日時：2020年4月21日 10時
