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「……そういえば、新しく入ってくる2人。
1人は男の子だけど、仲良くできるかなぁ……」
少し目を伏せながら言う花宮。
狗巻や乙骨、伏黒と打ち解けるまで時間がかかってしまった為に、今度もまた迷惑を掛けてしまうのではないかと心配している。
「治したいんだけどね、やっぱりちょっと怖いかな」
こんな話をしてもまた狗巻に気を遣わせるだけだと分かっていても、どうしても口が開いてしまう。
「仲良くなりたいなぁ……」
"みんなとも、もっと"と聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で付け足す。
もちろん狗巻が聞き落とす訳がなかった。
「すじこ……」
狗巻は空いている右手を、花宮の頭にそっと乗せる。
怖がらせないよう、優しく。
「大丈夫」
「…!」
狗巻の口からはっきりと発せられた"大丈夫"という言葉。
花宮を安心させるには、十分すぎるくらいの言葉だった。
「うん、そうだね。
元気出ました!ありがとう」
「しゃけ〜」
「わわわ」
わしゃわしゃと花宮の頭を撫でる狗巻。
花宮は擽ったいという感覚と、そして先程"大丈夫"だと言った狗巻の優しい表情を忘れられないでいた。
「(やっぱり棘くんは、優しい)」
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「ただいま〜!真希ちゃん、パンダくん、お土産だよ〜!」
「おかえりー。お土産?その愛くるしい俺のぬいぐるみか?」
「違うよ!これは新入生の子にあげるの!あとパンダくんのぬいぐるみじゃないもん、パンダのぬいぐるみだもん」
「お前何言ってんだよ」
「高菜」
寮に着く前にあらかじめ共有ルームに禪院とパンダを呼び出していた花宮。
帰るなり、嬉しそうに禪院の横に腰掛けた。
「お土産はこっちです!じゃじゃーん」
そう言って花宮は紙袋から先程購入したブラウニーを取り出す。
「プレゼントこれにしたのか」
「うん!名前に"東京"って入ってた方が分かりやすくていいかなって!
棘くんが選んでくれたんだよ〜」
にこにこと人当たりのいい笑顔で話す花宮を見て、禪院がニヤリと口角を上げた。
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作者名:もち明太 | 作成日時:2021年1月30日 3時