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「ごめん、お待たせ〜！」
花宮がファンシーな店でぬいぐるみを買っている間、狗巻は外でスマホを触って待っていた。
ジトリとした目で。
「棘くん？なんか凄い顔して何見てるの？」
「おっおかか！」
花宮にスマホを覗きこまれそうになるのをなんとか阻止した狗巻。
伏黒に一方的に送り付けていた妬ましい言葉の数々を花宮に見せる訳にはいかなかった。
花宮は不思議そうに目をパチクリさせるが、"人のスマホを覗くのはプライバシー的に良くないか"、という結論に至り、あっさり身を引いた。
「ねぇみてみて！可愛くない？」
「ツナマヨ」
パンダのぬいぐるみを自分の顔の前に持ち上げ、ぴょこっと横から顔を覗かせる花宮。
花宮はもちろんぬいぐるみを可愛くないかと聞いたが、正直狗巻には花宮しか見えていなかった。
「これ可愛いよね、今度私も自分の買おうかな？
あっ、でも部屋に大きいウサギのぬいぐるみがあるから、パンダはパンダくんで我慢しよう！」
"帰ったらパンダくんモフモフしようかな〜"とにこにこ笑って言う花宮。
絶対阻止しようと決意を固める狗巻。
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あれやこれやと喋りながら歩いているうちに、目的の店に到着し、まだ見ぬ後輩二人を想いながら東京の菓子を購入する。
「無事に買えました〜」
「こんぶ〜」
新入生二人のため、と言いつつも自分たちの分、伏黒の分、更には甘いものが好きな五条の分まで購入した花宮と狗巻。
1年生用、2年生用、五条用で三つの袋に分けてもらい、そのうち二つを狗巻が持っている。
「帰ったら2年でお茶会でもする？恵くんと五条先生は新入生の子迎えに行ってるし」
「しゃけしゃけ」
「あ、憂太くんにテレビ電話繋いでリモートお茶会とかよくない？」
「おかか。明太子」
「あ、そっか。時差があるから難しいね…残念〜」
"憂太くん、元気かなぁ"と海外にいる同級生の姿を思い浮かべる花宮。
狗巻はそんな花宮を見て、1年前に乙骨が編入してきた時のことを思い出す。
狗巻の時もそうだったが、初対面の乙骨に対して距離を置くように避けていた花宮が嘘のように、今では乙骨とかなりの仲良しである。
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作者名：もち明太 | 作成日時：2021年1月30日 3時
