#30 画面の奥のハプニング ページ30
「な？2人とも歓迎しとる」
「2人？」
「そう、これおれと海人と紫耀のグループ」
あんまり他人の画面をじっと見る勇気はなくて、どっちがなんと言ったのかは分からないけど。
“やったー”っていうのが「私が来ること」に対してじゃないとしても、拒否されてないっていうのは何となくホッとする。
『れん、おめでと！！』
『俺のファインプレーに感謝しろよっ』
「ファインプレー…？」
「…何のことやろね。あ、それよりほら」
『うちで晩飯食う？』
「だって」
…わ、わ。
いきなりそんな、言われても。
昨日今日でギリギリ永瀬くんと話せるようになった私が、いきなり4人でご飯だなんて。
流石にちょっとハードルが高い。
「あ、えと。えっと…」
「それはー…まだ早いな」
コクン。
“早いな”の“な”が、小さい子を諭すみたいに優しく上がる。それに促されて、私は小さく頷いた。
彼は私の顔色を伺いながら、欲しい言葉を言ってくれる。
…落ち着く。彼と一緒にいれば大丈夫だって、そんな気持ちが芽生えてくる。
「ん、分かった」
『食わん』
『あと10分ちょい』
彼の細くて綺麗な指先は、器用に画面上の文字をタップしてそう入力した。
スマホで文字を打つの、多分私の倍くらい早い。
『待って！もうちょっとゆっくり来て』
「ん？」
隣の彼が、小さく短い声を漏らす。
その後でかくんと上下した喉仏。
こんなとこ、見ようと思って見てるわけじゃなくて。
ただつい、目に入ってしまっただけなんだけど。
『俺と海人の干しといたパンツまだ取り込んでないの！！』
『うわしかもまだちょっと乾いてない』
『ドライヤーで乾かすからゆっくり来て！！』
『ねぇ海人どこにいるの！？手伝って！！！』
立て続けに届いた文章が、そのままあのハスキーボイスで再生される。
…なんか、愉快な人。
文面だけでも分かる。
彼は…その、そう。愉快な人だ。
「…あほなん。あの家乾燥機あるやろ」
「えっ」
そして永瀬くんの絶好調なツッコミは、ここでも健在らしい。
彼は真顔で静かに、そうぽつりと呟いた。
現場を想像したらちょっと面白くて、くすっと笑いがこみ上げる。
だって乾燥機あるのに、ドライヤーって。
それで下着、大慌てで乾かすって。
「…あ。笑った」
「…あっ」
「ふは、やっと笑ったね」
…やだ、恥ずかしい。
永瀬くんの画面にすっかり夢中になって、ずーっとどこかで張り詰めていた気がつい緩んだみたいだ。
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もちこ(プロフ) - yimmさん» はじめまして！コメントありがとうございます。お楽しみ頂いているようで何よりです…！ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月25日 17時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - もちこさん、はじめまして☆お話楽しく読ませていただいてます。この後の展開を妄想するとなんかだかドキドキ(笑)更新頑張ってください。 (2020年10月25日 7時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます。主人公可愛く書けててよかったです…！これからも是非色んな想像をしながらお楽しみいただけると嬉しいです、よろしくお願いします！！ (2020年10月23日 17時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 欲しいスタンプ俺が買ったるって何語ですか…？永瀬さんの妹になって買って貰いたい！それからなんですか！主人公ちゃんの可愛さ！！永瀬の妹って立場利用して主人公ちゃんと付き合いたい！ (2020年10月22日 21時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとっても嬉しいです。ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月20日 22時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちこ | 作成日時：2020年10月13日 19時
