#22 その横顔は青春色 ページ22
高く掲げられた彼の左手と、私の携帯。
その画面には、正反対の“ながせ”と“ながせ”が並んでた。
どう見たって不釣り合い。
身長も、雰囲気も、何もかも。
「ほーら。笑わんかい」
その声と同時にフッと彼の肩が離れて、触れ合っていた左肩のムズムズから解放される。
無意識に力んで上がっていた肩が下りて、ほっと一安心。…けどそれは、私のおっきな勘違い。
_________ムニ。
頬に感じた慣れない感触。
今度彼の重みを感じたのは、左肩じゃなくて背中と右肩だ。
何が起きてるのか分からなくて、画面を見る。
その光る四角の中に、私の肩を抱くように回った長い腕と、私の右頬をきゅっと引っ張っる綺麗な手。
…永瀬くんの、手。
「わっ…ちょっと」
「ちょぉ、動かんでよ。ブレてまうやろ？」
彼の声が聞こえたのは、その振動を感じてしまう位すぐ頭上からだった。
引きつったままの表情で、へにゃっと右の口角だけを上げられる。
そんな私の少し手前にいる彼は、白い歯を見せたキメキメの笑顔。
_________ふわり。風が吹いた。
くしゃっとセットされた髪の毛が、春風と一緒に揺れていた。
「ほら見て！めっちゃええ写真撮れた」
「だ、ダメこんな変な顔っ」
「へん？どこが」
「え、だって…」
私の表情を隠すはずの前髪は、こんな時ばっかり職務放棄。
春風のイタズラに巻き込まれたのは、私の髪も一緒だった。
前髪が上がって、バッチリ見えてる両眼と眉毛。
右だけ口角を上げながら、驚いてる顔。
背後から射す西陽の光が赤みを帯びて、私たちを丸ごと包んでいた。
「…可愛ええやん」
ポツリ、落とされた言葉。
それは気をつけなければ聞き逃してしまうくらい、こっそりと放たれた彼の一言。
「おれもイケメンやし。んじゃこれ、登録しとくから」
「えぇっ」
「ええやろ、他に友達登録する人おらんし。おれにしか見えへん、この写真」
「あ…そっか…」
そう言われてしまえば、そう…なのだ。
別に彼以外の誰に見られるわけでもない写真にああだこうだと言う方が、なんだかおかしいような気すらしてくる。
「んじゃおれの連絡先、登録しとくね」
満足気にへへっ、と笑った彼はそう言った。
4月の16時の空は、水色と西陽色が淡く混ざった水彩画みたいな空だった。
その空の光を受ける彼の横顔は、本当に綺麗で。
「…ありがとう、永瀬くん」
青い春って、きっとこういう色をしているんだと思った。
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もちこ(プロフ) - yimmさん» はじめまして！コメントありがとうございます。お楽しみ頂いているようで何よりです…！ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月25日 17時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - もちこさん、はじめまして☆お話楽しく読ませていただいてます。この後の展開を妄想するとなんかだかドキドキ(笑)更新頑張ってください。 (2020年10月25日 7時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます。主人公可愛く書けててよかったです…！これからも是非色んな想像をしながらお楽しみいただけると嬉しいです、よろしくお願いします！！ (2020年10月23日 17時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 欲しいスタンプ俺が買ったるって何語ですか…？永瀬さんの妹になって買って貰いたい！それからなんですか！主人公ちゃんの可愛さ！！永瀬の妹って立場利用して主人公ちゃんと付き合いたい！ (2020年10月22日 21時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとっても嬉しいです。ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月20日 22時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちこ | 作成日時：2020年10月13日 19時
