第三百五話 ページ8
虚にぽたりと滴が落下し、丸い波紋が広がっていく。
強い香の香りが鼻を刺激してつーんとした痛みが走る。
「あぁ、酷く鈍い痛みだわ…」
渦巻く赤、嫌悪。
にこりと笑みを浮かべる悪魔の背後に、
ただ連ねられた人々が生気を感じられない眼を抱え持った者たちが集まっている。
「私の願いを叶えてもらわなくてはね？」
いくら悪意を煮詰めて固めたとしてもそんなものは決してできない。
淀みきり、濁りきったただ鈍い赤が使徒に目を向けた。
全てが今一度、時間を歩ませる。
『へっくしゅッッ』
「おっほ？なんだ風邪かー？」
『おっほって何だよ。多分違うよそんなことじゃない』
「あっそー…」
やけに寒さを帯びる世界。
冬は終わりを迎え、近々の春のため花々が花開かせるその時期に悪寒を感じた。
ようやく出向く春の意に背くように世界が狂っている。
それは尋常ではなく、それだけが少女に理解できた唯一のことだ。
怯える木々達の声など聞こえるはずもなく、少女はただ学園へと足を進めた。
「そういえばレイくんはどうなったのー？」
『今は休んでるよ。前のことがちょっと心にきたみたい』
「あいつってさー結局何なんだろうねー？」
一般人からパッと見ればその光景はまさしく青春を謳歌する学生達だ。
だが、内面は全くそうではない。
誰も知ることのない世界に、彼岸にまで足を踏み入れた子供達。
何より、少女…Aに至っては呪いを被せられている現役の祓い屋だ。
普通の子供ではないというのはしっかりとわかることだろう。
彼女達に干渉すればの話ではあるが。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とりまろ。(プロフ) - あんこもちさん» 鳥肌になってくれて嬉しいですわッッ！(((新章も始まりまして更新バリバリ頑張りますよ！コメントありがとうございます！ (2019年4月30日 13時) (
レス) id: ba9bcb022c (このIDを非表示/違反報告)
あんこもち - わぁぁ！凄い！全部の題名と繋がった！何か意味があるんだろうなぁ〜と思ってたけどほんとに合った！あそこ読むとき鳥肌やばかったです！鬼太郎と夢主ちゃんの恋の進展も気になる、、、。更新頑張ってください！長文失礼しました。 (2019年4月30日 8時) (レス) id: 209354e5c5 (このIDを非表示/違反報告)
とりまろ。(プロフ) - 待っていてくれてありがとうございます！不定期更新ですが完結まで頑張ろうと思います！ (2019年4月20日 20時) (レス) id: ba9bcb022c (このIDを非表示/違反報告)
みっこ - 待ってました！忙しくて更新できない時が多いかもしれませんが少しずつ更新頑張ってください！これからも応援しますっ！(・ω・)ﾉｼ (2019年4月20日 20時) (レス) id: f38aff3a8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とりまろ。 | 作成日時：2019年3月24日 15時
