検索窓
今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:63,039 hit

意識の内と外 ページ25

緊張のせいで降谷くんが言ったことをよく理解できないまま、


『一通り終わったら声かけて』


脳内に木霊するその言葉を忘れないように何度も心の中で復唱した。


ただでさえ降谷くんの中での私の印象が今よりも下がらないように。


そこら辺に散っている集中力を掻き集め目の前の単語を頭に詰め込んだ。



「…おわりました」


一通り覚えて、蚊の鳴くような声で呼びかければ「ん」と一枚の紙を渡された。


見れば、実際に行われる小テストさながらの問題量がびっしりと文章とともに並んでいる。


降谷くんが隣でカリカリとペンを走らせていたのはこれだったのか…。


…それにしても。

私が勉強していた時間と、降谷くんが書き記した文章量。中々に見合ってないような。


彼の頭の中は一体どうなっているんだろう。きっと膨大な情報が詰め込まれているに違いない。


「15分。実際の小テストと同じ時間で解いて」

「はっ、い」

「じゃあ始め」


降谷くんの凄さを目の当たりにして、思考も体も固まらせていたけれど

そんなことなど露知らずな降谷くんの言葉に、弾かれたようにペンを握って問題を解き始める。


解いているときだけは、隣の降谷くんを意識せずにいられた。


何せ問題の量が多い上に私は頭が悪いから。覚えたものを早く書き込んでいかなければ時間も間に合わない。



とにかく頭をフル回転させてガリガリと書き込み続けて。


「終わり」


降谷くんの呟いた短い単語にバッと顔を上げた。


彼はさっさと紙を手元に寄せ、すでにその手に握られていた赤ペンを軽やかに走らせ始めた。


居た堪れない。泣きそうな嗚咽が込み上げてくる。


今に始まったことではない私の頭の悪さを、彼の目の前で露呈してしまうんだ。


やはり情けなくて。どうしようもなく恥ずかしい。


「…吉岡って、」


どうにも居た堪れず、消えてなくなりたいと願いながら体を縮こませている私と、

伏し目がちに紙を見つめ、頬杖をついて採点をしている降谷くん。


一本一本がキラキラ光る細くて綺麗な彼の髪から、目が離せなくなりそう。



「暗記系の科目が苦手って言ってたけど、覚え方に問題があるんだと思う」

冬の前→←心臓が飛び出そう



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (55 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
113人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かものはし子(プロフ) - フライドポテトさん» 励みになるコメントをありがとうございます(*^^*) (2019年9月17日 13時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
フライドポテト(プロフ) - めちゃめちゃ好きです。ドツボです。頑張ってください!!!更新待ってます。 (2019年9月17日 2時) (レス) id: 59946ff9b9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年7月23日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。