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痛いほど心臓が ページ14

私みたいな人間と、仮にも友人だと思われたら諸伏くんはきっと迷惑だろう。


その理由は諸伏くん本人には言わず、

けれど学校では他人のふりをしようと提案して、彼も頷いてくれた。


時々廊下ですれ違っても、目は合わせないし、話しかけるなんて以ての外。


素知らぬ顔ですれ違う。


だから諸伏くんが話しかけてきたときは、あまりに突然のことで言葉が出ず、

心の中では、諸伏くん何やってるのとひどく困惑した。


そして、今。

あれよあれよという間に降谷くんに勉強を見てもらっているこの状況。全く飲み込めない。


「…」

「…」


静かな空間に、やけに大きく聞こえる紙の上を走るペンの音。


降谷くんは隣の椅子に座って、ノートの上に書かれていく数式を見ている。


沈黙は、思考をひどく働かせる。


ほんの数時間前に、私は初めて降谷くんとしゃべって。

降谷くんを不快にさせてしまい、さらには謝罪の言葉こそ言ったものの逃走を図った。

きっと、降谷くんはあまりよくは思ってないだろう。

でも私はそんな彼に憧れて、彼のようになりたくて。

手っ取り早く放課後、明日の小テストのための勉強をすることにして。


なのになぜか今二人きり…


「そこ」

「え…?」

「使う公式が違う」

「はいっ」


き……緊張で心臓が痛い。


学年首席の降谷くん。

かたや学年最底辺の私。


こんな簡単な問題も解けないのかと呆れられているのではなかろうか。

字が汚いと思われてるかもしれない。

こいつ馬鹿だなと思われてるかもしれない。


無駄に考えが溢れてくる。主にマイナス方向。


「それ。計算ミス」

「はいっ」


駄目だ…。

ただでさえ出来の悪い頭なのに。

目の前の問題よりも他のことを考えてしまって回らない。


恥ずかしい。見られたくない。憧れの降谷くんに。こんなところ。


もっと、頭がよかったら。


「…なあ」

「…はい」


何を言われるのかわからなくて、怖くて、心臓が痛い。

不安を振り払うようにシャーペンを走らせて、答えを導き出すために頭を回転させる。



「…いつも自習してるのか?」

静→←何で



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かものはし子(プロフ) - フライドポテトさん» 励みになるコメントをありがとうございます(*^^*) (2019年9月17日 13時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
フライドポテト(プロフ) - めちゃめちゃ好きです。ドツボです。頑張ってください!!!更新待ってます。 (2019年9月17日 2時) (レス) id: 59946ff9b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年7月23日 18時

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