検索窓
今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:63,057 hit

何で ページ13

勝手なことを言い出し勝手に帰った幼馴染に、呆気に取られるしかなかった。


「あの…」


ただただ呆然と扉に視線を向け立ち尽くす俺に、そいつは控えめに声をかけた。


振り返って、最初に目に付く鈍い金色。


今日初めて、この吉岡という女子に文句を言うために話しかけて。

しかもこいつは俺に好意を抱いてるみたいで。

でも、それっきり。俺にはもう関係ないと思ってたのに。


なんでこんな状況になってんだ。


…ヒロのせいだ。

明日……いや、今すぐにでもメールでも何でもいいから永遠文句言ってやる。


「降谷くん…」

「…なに」


怯えるような目を向ける吉岡に込み上げる嫌悪感。無意識に刺々しい言い方をしてしまう。


「帰って大丈夫だから…!」


早口にそれだけ言うと、吉岡はくるっと背を向けまた机にかじりつき始めた。


…言われなくても帰るつもりだったし。

俺がこんな奴に勉強を教える義理もない。

さっさと帰ろ。で、ヒロにメールだけじゃなく直接文句を言う。


踵を返し扉の方に歩き始めると、手元の携帯が震えた。

見ると、ヒロからのメールで。


"10分でもいいから吉岡さんに勉強教えてあげること

帰るなよ"


「…」


あいつは何処かから俺を見てるのか?タイミングが完璧すぎる…。


イライラして声が出そうになって、ここが図書室であることを思い出しすぐに飲み込む。


代わりに、深い長い大きな溜め息。


『帰るなよ』


俺の行動を見越して先手を打たれた。

このまま帰ったらなんだか癪だ。いっそあの女に完璧に勉強を教え込んでやる。


そう思うが早いか、また方向転換。


「おい」


声をかけるとびくりと肩を揺らし、吉岡はゆっくり顔を上げた。


「はい…?」

「勉強見るから。あっちの方に座ろう」


一人用の勉強スペースは仕切りが邪魔だ。

仕切りのないスペースの方が見やすいし、教えやすいだろう。


さっさとそちらに移動して椅子に座ると、吉岡はまだ固まっていた。


「おい。早くしろよ」


そう言うと、いきなり忙しなく動き始めたが、表情は混乱の色を濃く見せていて。


なんだあいつ…わかりやすすぎだろ。


一瞬だけ。

面白いなと思って。

でもすぐに相変わらずの嫌悪感が戻った。

痛いほど心臓が→←ありがた迷惑



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (55 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
113人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かものはし子(プロフ) - フライドポテトさん» 励みになるコメントをありがとうございます(*^^*) (2019年9月17日 13時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
フライドポテト(プロフ) - めちゃめちゃ好きです。ドツボです。頑張ってください!!!更新待ってます。 (2019年9月17日 2時) (レス) id: 59946ff9b9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年7月23日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。