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HS「いや、だって……」
WZ「なんだよ」
HS「Aがちょっと憂鬱そうだったから」
__「私？」
HS「違った？」
ホシヒョンが手持ち無沙汰に、自分の耳へイヤホンを出したり入れたりしている。
どうやら心配してくれていたらしい。
別に嫌そうな顔をしてたわけでもないけど、ヒョンは案外人の事をよく見ていたりする。
WZ「本当に？」
__「まあ……うーん、そうなのかなぁ。今まで誰にも言わなかったんですけど、実は表彰式って苦手で」
WZ「はあ？」
HS「なんで？」
__「レッドカーペットもステージも全部、ベルトコンベアで流されてオークションに掛けられてるみたいじゃないですか」
HS「ええ……」
__「コンサートは好きなんですけど、授賞式はちょっと」
WZ「お前まだそんな事考えてたのか」
ウジヒョンが呆れた口調でそう言った理由は多分、散々私のマイナス思考な部分を見せてきたからだろう。
このグループにいる自分が、他人にどう思われているか何度も相談したことがある。
けどまあ、今回はそう言うわけでもなくて……なんて言ったらいいか……
__「授賞式って、どうしてもちょっとピリっとするじゃないですか。お客さん側も、もちろんこっち側も」
HS「うん」
__「会場に入ってるファンは自分の応援してるアーティストが賞取って欲しいと思ってるでしょ？」
WZ「そりゃそうだろ」
__「となると、私たちは他のアイドルとそのファンの敵って事じゃないですか」
HS「うーん？」
__「だから、そう意味で緊張するだけですよ」
WZ「胡散臭いな」
__「本当ですって」
笑いながら手を振れば、ウジヒョンもホシヒョンも「ふーん」と気だるげに相槌を打った。
そっちから聞いといてなんだそのどうでも良さそうな顔は。
仕方ないから、ウジヒョンが堰き止めてしまった話を元に戻す。
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作者名：せの
| 作成日時：2019年8月22日 10時
