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ジョンハニヒョンが「Aが来てもオーバーなリアクションはするなよ！」とメンバーに念を押して回るのを目で追いながら、ぼけっとしてるミンギュヒョンにペンを渡す。
その瞬間、僕はとってもいいことを閃いてしまった。
誰にも見られないように渡された紙へ「バーノン」と筆跡を真似て書き込み、手早く二つに折りたたんだ。
あの子がヌナに恋をしているのは知っている。
本人から直接そう聞いたわけではないけれど、ボノニは随分前から恋に落ちているんだ。
何考えてるかわかんない顔をしてる癖に、こういう所はわかりやすいんだよなぁ……
そんなボノニの隣まで、小走りで向かう。
「ボノニ、名前書いた？」
「ん？ああ、まだ」
「なにやってんの、早く書いて」
「何で急かすの」
「いいから！」
僕だってもちろんAヌナの事が好きではあるけど、ボノニの抱えている「好き」と同じではない。
そんなこと、初めて会った頃からよく知っている。
僕がヌナに向ける愛情は、姉に向かっているものとほとんど変わらない。
残念ながらヌナが至る所で散々公言している通り、この世界にいる間、ヌナは誰も好きにならないように見える。
もし誰かと恋に落ちたりすれば、きっとすぐにこの世界から離れてしまうだろう。
それだけは嫌だ。
それがヌナの幸せだと言われたとしても、絶対に受け入れられないし、断固拒否。
好きな人と好きな人が結ばれる事が一番の幸せだとは理解してるけど、ヌナには誰にも、それこそボノニとだって結ばれてほしくない。
自分で考えといてひどい話だとは思うけど、これが僕の本音だったりする。
「書いた」
「二つに折りにして」
「ん」
「ボノニ、」
「なに？」
「ヌナ、ドレスだって。楽しみだね」
そう聞いたボノニが、小さく閉じた口角をほんのりつり上げた。
ああ、やっぱり。
ボノニと僕が抱えている感情は180度違うらしい。
ジョンハニヒョンがどこからか持ってきた茶封筒に、そのメモ用紙を二つ纏めて放り込む。
そういう訳で、ボノニがヌナに選ばれる確率は二倍になった。
これくらいの可愛い小細工ならきっと、ヌナが誓ったという神様も許してくれるだろう。
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作者名：せの
| 作成日時：2019年8月22日 10時
