2016.Winter レッドカーペット 前 ページ25
スングァン視点
ミンギュヒョンと何の役にも立たないくだらない話をしつつ、衣装さんからネクタイを直してもらっていると、僕たちが借りているクローゼットルームの扉が勢いよく開いた。
「そんなにうるさく入る事ある？」と思いながらドアの方を見ると、軽く肩で息をしているクプスヒョンとジョンハニヒョンが見えて余計に首を捻る。
今日は授賞式がある。
こうやって出演させてもらうのも二年目に突入すれば、ガチガチだった去年とは違ってまだみんな余裕がある表情をしていた。
それなのに、誰よりも落ち着いていたこの二人が一体どうしたと言うんだろう。
もう皆着替え終わったから別室で準備しているAヌナを連れてくると言って、ジョンハニヒョンがクプスヒョンを強制連行したのは確か十分ほど前だ。
それなのに、戻ってきた二人の前にも後ろにも、もちろん横にだって肝心のヌナがいない。
軽口でも言おうとしたけど、二人ともなかなかに険しい顔をしていたからやめておいた。
それなのに、シュアヒョンがあっさりと聞いてしまう。さすが同い年。
JS「Aは置いてきたの？」
SC「あっ」
JH「ああ、しまった……」
SG「ヒョン達、ヌナのこと本当に置いてきちゃったんですか？」
JH「……シュア、」
JS「ん？」
JH「シュアがAを連れてきて」
JS「どうして？」
SC「行けば分かる」
ソファに足を組んで座っていたシュアヒョンが、不思議そうな顔をしたまま立ち上がり、部屋から出ていく。
その間にクプスヒョンとハニヒョンがこそこそと話しながら、みんなに一人一枚ずつメモ用紙を配り始めた。
最後の最後に僕とミンギュヒョンへ押し付けるように渡して来たのは、何の変哲もないただの紙切れだ。
天井の蛍光灯に照らしてみても、別に特別変わったところも見られない。
シュアヒョンのいなくなったソファに、クプスヒョンがどかりと腰を下ろして両手で顔を覆った。
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作者名：せの
| 作成日時：2019年8月22日 10時
