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そう言い切って頷いたウジヒョンが、あまりにもお母さんみたいな手付きで私の前髪を横に流した。
頬にえくぼを作りながら見下ろしてくる。
ぼ、母性……
「合理的だろ？」
「……ヒョンはいつも理にかなってるので、今回もきっとそうなんだと思います」
「なんだそれ」
「だってウジヒョンの事言い負かそうとしても、結局理詰めされちゃうし」
「お前がオレの言葉をいつも素直に受け取りすぎなんだよ」
「……じゃあ反論しますけど、本当にこれだけで悪夢を見ずに済むんですか？」
とは抵抗しているけれど、実は既に眠気がすぐそこまで来ていた。
むしろ、ご飯を食べてお腹がいっぱいになった辺りからうとうとし始めている。
ウジヒョンの声が柔らかすぎるのがいけない。
少しだけ言葉のイントネーションが私たちの故郷に戻っているのもダメだ。
さっきお風呂に長く入っていたから、いつもは冷たい足元もポカポカしているし、逆に冷たい上掛けが気持ちよくもある。
「それは知らん」
「ええ……」
「お前にやれることは全部やってやったしな」
「子守歌のオプションはありませんか？」
「ない」
「なんだ、残念」
「あとは、そうだな」
ウジヒョンの手が伸びて、口元を隠すように上掛けを掴んでいた私の手を取り、なかなかの力強さで握った。
ヒョンは赤ちゃんみたいに暖かい手をしているけれど、赤ちゃんとは言えない程ごつごつしている。
そういえばダンス構成以外でこの人と手を繋いだのは遠い昔に思う。
デビュー前くらいが最後だったかな。
あの時も今と同じようにぐずっていたような……
確か、兄が忙しくて会えなかった時期だ。
「お前もう眠いんだろ。手が熱いぞ」
「ヒョンの方があったかいですよ」
「オレは代謝がいいからな」
「私が寝たらウジヒョンは何をするんですか？ヒョンこそ一人で起きてて寂しくないですか？」
「Aが寂しくないよう、部屋にいてやらないといけないから忙しいんだよ」
「そっか」
「全く、なんて世話の掛かる妹なんだ」
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作者名：せの
| 作成日時：2019年8月22日 10時
