３ ページ12
.
ウジヒョンが膝に手をついて立ち上がり、バスルームに向かっていく。
ボロボロの私を捨てていくなんて余りにもスパルタが過ぎる。
「シュアヒョンに言いつけてやる」なんて思ったけど、シュアヒョンは確実に私を放ってシャワーを浴びてさっぱりするタイプの人間だ。
バシャバシャと立てる音に耳を傾けながらクッションを抱きしめて時計を見る。
ちょうどお昼を過ぎたところか。
今頃みんなは外でご飯を食べてるのかな。
誰か帰りにお土産でも買ってきてくれないかな……
テンションが上がりそうな物ならなんでもいい。
スマホを横目で眺めると通知を知らせる点滅が光っているのに、何故か開く気にはならなかった。
そうこうしないうちに、Ｔシャツを肩まで捲り上げたウジヒョンがもう一度戻ってきた。
シャワーを浴びていたわけではないらしい。
「肌が白いアピールですか？私だって負けませんよ」
「うるせえ、早く風呂に入ってこい」
「……ウジヒョン、今なんて？」
「バスタブに湯を溜めてるから入ってこい。言っておくけど、未だかつてない程綺麗に洗ってやったから安心しろ」
「は、はあ？」
「Ｔシャツとハーフパンツも貸してやる。ほら、行け。ゆっくり入ってこい」
「ええ？」
「一瞬で出てきたら殺す」
今の今まで綺麗で愛らしい言葉を並べて作詞作業していたはずのウジヒョンが、いくらなんでも不穏すぎる言葉を口に出す。
手を引かれてバスルームに閉じ込められると、既に入浴剤が投入されていた。
なんでこんなに気の利いたものがボノニとウジヒョンの部屋に……
そんな事を考えつつも、しゅわしゅわと音を立てながら入浴剤が溶けていく青色になったバスタブに手を入れる。
なるほど、ウジヒョンはぬるま湯派らしい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 867人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：せの
| 作成日時：2019年8月22日 10時
