泣.キ.虫.カ.レ.シ - 南 倉 -

泣き虫02 ページ4

放課後、
俺は一人、たそがれていた。


もうそろそろ受験で忙しい頃だ。

サッカーばかりに集中出来ない。


今の俺では、志望校に行けるかどうかわからない。



"内申点がほしい"



そうだ。
だから俺はサッカーを続けているんだ。



俺は鞄を持って、
一歩足を踏み出した。



サッカー部へ向かうため。




.



「南沢さん！
もう練習始まってますよ」


グラウンドでボールを蹴る神童が、
足を止め、俺に向かってそう言った。



「悪い。
今から着替える」



そうして更衣室へと、
再び重い足をあげた。



.



「あ、南沢さん、ちーす」


「……なんだその挨拶は」


「……こんにちは」


「ふっ、最初からそう言えよ」




＿＿倉間がいた。


ふてぶてしく挨拶をする倉間を見て、

『可愛い』って思ってしまう俺を、


笑顔に出来るすごい奴。


背は小さいけどな。



「もう練習始まってるぞ」


「分かってますよ。
なんか女子に呼ばれたんで、遅れたんです」


「そーかよ」




って……。


(……ん？)



一瞬、頭がフリーズした。



「……呼ばれた？」


「はい。
「付き合って下さい」だと」



制服を脱いで、
倉間の黒い肌が露わになる。



「すごいでしょ。
俺だってあんたに負けないくらいモテるんすからね〜」



ユニホームを着て、
倉間がニシシ、と笑った。



「……で、お前、なんて言ったの？」






込み上がってくる、イライラ。




*

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