げいひめ。 (ページ36)

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＊

「、、びっ、くりしたあ」

「邪魔するわ」

「いや、、ええけど。びっくりするわ」

風呂上がりなのか、下着姿でソファに座り一服してる姿。

「セキュリティどうなっとるん、この家」

「勝手に入ってきたあんたが言うな」

「それもそうやな」

慣れたもんやと言わんばかりに、

恥じらうことも、急いで服を羽織ることもなく、

そのままタバコを吸い続ける。

「、、服着やんの？」

「あんたが来た理由によるやろ」

「どういう意味？」

「いやほんまにヤりに来たならどうせ脱ぐやん」

「ふはっ、なるほど、確かにな」

あっけらかんと言ってのけるから、思わず笑ってしまう。

理にかなってるような、ちがうような。

変な納得感。

「普通に『同期やからちょっと、、』とかないん？」

「もう同職ちゃうからなあ」

「、、まあそやな」

隣に座って、変な沈黙。

「、、賢志郎さんとヤったん？」

「絶対聞かれるおもたわ」

「そら聞くやろ」

「、、まだヤってた方がマシやわ」

はあ、とため息をついて。

「え？ヤってないん？」

「もー、たまらんかったわ。勘弁してほしい」

「なにが？どういうこと？」

疑問でいっぱいの頭。

けどヤってないって聞いて自分の口がにやけてる。

「、、好きやねんてさ。私のこと」

一瞬前ににやけた口は、すぐに元に戻って

ああ、遅かった、と後悔の念へと変わる。

「、、そんなんわかっとった話やろ」

「いや、ほんまのやつらしい。よーわからんけど。」

「見とったらわかるやろ、あんなん」

「えー、、わからん、、」

自分の身体の価値は重々わかってるくせに、

自分に向けられる本気の好意はわからんって

そんなことあるん？変な奴すぎるやろ。

「好き、っていうのと、ヤりたい、ってのは別？」

「別に決まっとるやろ」

「えー、、むず」

「なにがむずいねん、、」

「下半身じゃないところの問題？」

「、、今なんの話してんのかわからんなるわ」

先陣を切られたことに腹を立てていたはずやのに、

無性に賢志郎さんを不憫に思ってしまう。

「なんて返したん」

「え」

「好きって言われて、なんて言うたん」

「、、そういうんわかりませんって言うた」

「、、、はぁ〜」

「なんやねん！！ため息つくな！」

、、安堵と呆れのため息。

あと、少しだけの、同情。