出逢った日から、ずっと

雪の中の卒業式 ページ28

翔平くんを見送る最後の卒業式。
ここまでバレることなく…、直接喋ることなく学生生活を送ってきた。
最後の最後にめんどくさいことになる訳にはいかないので吹奏楽部の友達と部室からみんなに見送られてる翔平くんを眺めた。


何人かの報道陣と野球部の後輩や私と同い年の女子。
降りしきる雪の中、みんなの歓声を浴びて翔平くんは卒業して行った。

1回も喋ることはできなかったけど、翔平くんの近くで学生生活を送れて楽しかった。


あ、そういえば1回だけ体育祭で写真を撮ったことがあったな。

全く撮る気はなかったんだけど、その時一緒にいた4人くらいのグループの子が翔平くんと写真を撮りたい！と言い出して丁度暇そうにしてた翔平くんに写真をお願いしに行って。


私は別に撮るつもりがなかったから3人が個人個人で翔平くんの隣に立って嬉しそうに笑う姿を写真に収める係をしていた。
まあカメラマン的なね。

そしたら翔平くんが「撮らなくていいんですか？」ってこっちを見て少しニヤニヤしながら尋ねてきた。

「そうだよ！Aも撮っておいてもらいなよ！記念だよ記念！」


と半ば強引に翔平くんの隣に立たされ写真を撮ったのだった。


そんな状況になんだか笑えてきて2人とも満面の笑みで写真に写っていた。


直接喋ったのはそれっきりだった。
よく電話はしていたけど。



翔平くんがまた寮に入る前に会えたらいいんだけど。
沢山の人に見送られて車に乗り込む翔平くんの後ろ姿を見てふとそう思った。

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