警察もとい公安警察です・３【名探偵コナン】

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no side





「うわぁ……マジか、降ってきたよ……」


「俺レインコート持ってねぇよ……」




ポツポツと降り始めた雨はあっという間に本降りになる。
山の天気は変わりやすいのである。




『愛華ちゃん大丈夫？』


「ちょっと冷たいけど、大丈夫……！」




そう言う花園の肩は小さく震えていて
寒いのが目に見える。




『…………』




駿東は雨合羽を持ってきていない班員たちを
横目で見て密かにため息をつく。

自身に山の経験が豊富にあるわけでは無いが、
このメンバーはあまりにも準備を怠り過ぎである。

確かに当日は新品の靴を履くな、とか、
念の為に雨合羽を持ってこい、だとかの指示は無かった。
だが常識的に考えてみれば分かる事だ。





「Aちゃん……ごめんね。私、迷惑かけて……」


『そんな……大丈夫だよ、愛華ちゃん。』





花園の弱々しい声に駿東は決断する。




『……すぐそこに山小屋があるから避難しよう。
遠くで雷の音も聞こえるし。』


「か、雷……！」


「日も暮れてきたけど泊まれるかな……」


「駿東、今日はここで終わり……？」




そんな質問に駿東は頷く。
まもなく日は落ち、気温は下がる。
雷も鳴っているとなれば歩き続けるのは危険でしかない。





『でもこのペースだと登頂出来ないから、
明日は少し早く出た方が良いと思うんだけど……』


「駿東ちゃんの言う通り早く出よっか。
登頂出来ないと大幅に減点だもんね。」




佐々木が頷くことで、他のメンバーも賛成する。




「はくしゅんっ、」


『！』


「ご、ごめんね！ちょっと寒くて……」


『濡れちゃったもんね……
風呂は沸かせないし……お湯は用意できるかな……』


「そういや外に蛇口あったよな！
あれって水出るのかな？てか自由に使っていいのか？」


『……使えると思う。』




１人の男子が思い出したように言い
駿東は見てくる、と雨合羽を着て山小屋を出る。
その背中を見ていた花園は静かに頷いた。





『蛇口はこれか。……うん、ちゃんと出るね。』





駿東は蛇口をひねり、濁りの無い水が流れるのを見る。





『……皆、今何してるかな。』





バラバラと雨合羽を打ち付ける雨を眺め、
ぽつりと呟く駿東。
それから首を横に振って、両手でパチンと頬を叩く。





『今は、集中。
さて……お湯を沸かす鍋はどうしようかな。』


「駿東ちゃん、」


『！』





振り返った駿東の前には佐々木がいた。

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