許嫁で純愛【呪術廻戦】

三十九本 ページ40

貴女side







──虎杖が倒れる少し前──







このタイミングで出張だなんてツイてない。
恵たちは無事だろうか。




【ｷﾞｬｯ、】


『……』




目の前の呪霊を祓っていく。
……最近は未登録の呪霊が多い気がする。






この後は現地の"窓"と術師との面会か……


初対面の人とあんまり話すのは得意じゃない。
私の視線や動きから察して貰えないし、
私も単語数を増やさなきゃならないから。





……ハッキリ言うと、
筆談するのがとんでもなく面倒くさいのだ。
悟くんや恵たちと話すことに慣れてしまったから。






『ｯ、』






ちょうど踵を返した時、ピリッとした痛みが走る。
……これは恵の所にいる式神か。





基本的に式神と交信は出来ないが今回は特別。
呪力を通して音に変えて交信するから
その分、呪力が割かれ力は弱くなってしまう。





『……(どうしたの？)』


【伏黒恵の警護を開始。
両面宿儺と思しき男と交戦を、開始。】


『！』






両面宿儺……！？
悠仁はどうしたの？まさか指を取り込んだとか……
まずい、「夜叉」で対宿儺は厳しい……！！






【両面宿儺より、主の名を、聞かれた。】


『ｯ…………(良いよ。伝えて。)』


【承知した。】





さすがに別人の式神だと分かったか。
だけど何で私の名前を聞く必要がある？





ゾクリと背筋が冷える。
私が宿儺に狙われる分には構わない。




でも悠仁や野薔薇、恵が狙われるとしたら……




……そんなこと、させない。
あの子たちは大切な生徒だ。






でもこの距離からじゃトべないし、
式神を送るのも限界がある。






今いる「夜叉」も攻撃が重なればもたない。
あくまで「式神」だから。






『ｯ……が、ん ばっ……て、みんな…………』






今は祈ることしか出来ない。







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それから数時間後。
私は伊地知くんからの電話に言葉を失った。

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