許嫁で純愛【呪術廻戦】

二十一本 ページ22

no side





「夏油！五条は！？」


「悟ならついさっき怖い顔して
外へ走って行ったけど…何事？」





いつも落ち着いている家入が声を荒らげたことで
夏油も異変を察知する。





「…！夏油も行って。私は夜蛾先生を呼んでくる。」


「……？」


「Aが危ない。」


「！」




その言葉に反応した夏油。
素早く頷いて外へ駆けて行った。




.









.








「はー……マジ無いわ。
さっさとAの中から出て行けよ。」


【クハ、一生憑くと決めたのでな。無理だ。】


「それがもし父親だから〜とか、
娘を見守るため〜とかならまだ良かったのにさァ。
…………お前、取り殺す気だろ？」





グラウンドの真ん中でAと五条が話す。
正確にはAの喉にある口と、五条が、だ。


Aは憔悴していた。
涙を流し荒い息をして何とか立っていた。





【そうとも。
コイツの、Aのせいで死んだ我々は
その位してやらねば気が済まない。】


「逆恨みもいいとこだよホント。」


【私を祓うか？五条の小僧。】


「祓ったらAの喉を潰すんだろ。」


【死なないだけ感謝したらどうだ？】





ﾁｯ､と舌打ちを零す五条。
その背後に夏油が走ってやって来た。





「……傑、夜蛾先生呼んでこい。」


「硝子が行ってくれてる。何か手伝うか？」


「…………」





五条は夏油に向き直る。





「硝子が夜蛾先生を連れて来たら多分何とかなる。
だから先生が来たら傑はAを抑えてくれ。」


「分かった。」


「それまでは……ひたすら時間稼ぎだ。」





その言葉に頷くと、
五条と夏油は再びAの方を見る。





「こんにちは。あなたがAのお父様です？」


【夏油傑…………Aの同級生か…………】


「あれ、ご存知なんですね！
そうです、そうです！同級生の夏油傑です。」





にぱ、と笑う夏油に
隣の五条は何だコイツ、と言いたげな顔をする。





「私はあなたが憑いた経緯とか知らないんですけど
Aを恨んでるってことですかね？」


【……】


「あはは、無言は肯定と受け取りますよ。
ところでAが凄く苦しそうなんですけど……
もう少し優しくしてあげたらどうです？」


【必要ない。
Aには"最強"になって貰わねば困る。
我が古式家を途絶えさせないために…………！】





ギリ、と喉の口が歯を食いしばる。





「……当主が死んで呪いになった、なんて
家名は地に落ちたも同然ですねぇ。」

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