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「王よ!大変でございます!!城外に馬車が!」
「馬車……?御者を通せ。」
慌てたように王の間へ駆け込む従者。
王は眉をひそめて指示を出す。
.
バタン、と乱暴に開かれた扉。
そこに居たのは従者に連れられた御者。
「登城をお許し頂きありがとうございます。
……本日はナイトレイブンカレッジより
冥府の第一王女であるA・メイフィス様を
お迎えに上がりました。」
「……ナイトレイブンカレッジだと?
彼処は男子校だと聞いているが?」
御者は頭を下げる。
「仰る通りでございます。
……次期王たる弟君が戴冠式を迎えるまで
A様が一時的な王女になるとか。
A様の魔力は強大でございます。
正しい扱いを覚える必要があるかと。」
「……どこでその話を……
………しかしな、あの様に役に立たぬ女であっても
一応は私の血を引く娘だ。
男子校に送り込むのは些か不安がある。」
王は微塵も変わらぬ表情で御者を見る。
御者は頭を下げたまま話を続ける。
「勿論、きちんと配慮は致します。
お召し換え等は専用のお部屋をご用意し、
寮についても学園長立ち会いの元決定を。」
「…………娘を呼べ。」
「はっ。」
従者が下がり王の間を出て行く。
王はどうでも良さそうにため息をついた。
『……お呼びでしょうか。』
「ああ。
お前はナイトレイブンカレッジへ招待された。」
『……ナイトレイブンカレッジ?』
「悪い話では無い。」
『しかし、男子校では……?』
王女……Aは摘んでいたドレスの裾を離し、
下げていた頭を上げる。
「お前は所詮、我が息子の代替物。
私が存命の限り居ても居なくても変わらぬ。」
『……』
「見聞を広めよ。
お前をナイトレイブンカレッジへ入学させる。」
『…………御意。』
Aは再び頭を下げ、従者を連れて下がる。
残された御者も頭を下げると退室した。
.
「姫様、よろしいのですか?」
『お父様……いえ、王の言葉は絶対ですから。』
「しかし……」
『……良いの。
こんな辛気臭い所にずっと居るなんて嫌だもん。
きっと"青春"って言うのが出来るよ。楽しみ。』
「姫様……」
Aは楽しそうに旅行鞄を用意し
必要最低限の荷物をまとめていく。
『あ、この鞄と靴を置いておいて。
お母様へ挨拶してくる!』
「はい……」
Aは上機嫌で部屋を出て行った。
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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年7月20日 8時