１月 ページ42
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さくり。
さくりさくり。
新雪を踏む小気味よい音が真夜中の山中で響く。
音をさせているのはうら若い女だ。
彼女が通った雪の上にはくっきりと足跡が残る。
女は大きな切り株まで歩いてくると
畳まれた洋服を開いて身にまとう。
白いシャツと臙脂のスカートを揺らして
素足で雪の山道を下っていく。
凍った沢を跨いで
扉が開いたままのお社を少しだけ覗いた女は
踵を返し、冷たい石段をゆっくり降りていく。
石段を降りきると女はすとんと座り込む。
まるで歩くのが疲れたように。
雪が降る夜にシャツ１枚で冷えるのだろう。
何度も指先に息を吹きかけて手を擦る。
女は東の空が白むまでじっと座り続けた。
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──────
今年の元旦は異常な積雪量だった。
何度もニュースでそう報道される。
北が呟いた通りまるで熱が無くなった様に
雪は降り続け、溶ける様子は無い。
流石の大雪で北を含む多くの人達は
田圃を訪ねることははばかられた。
お社の石段に座っていた女は
豪雪の中ふらりと立ち上がり歩き出す。
『──────ん…………』
かじかんで震える唇で
しきりに何かを呟きながら女は歩く。
時折雪に足を取られて
体を大きく傾かせながらも歩き続けた。
やがて女は１つの田圃に辿り着く。
ほとんど真横に吹き付ける雪。
女は必死に目を凝らして何かを探す。
ほんの少しだけ風が止んで雪の切れ間が現れる。
『……！』
女はその瞬間、弾かれるように走り出した。
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女の視線の先には北の背中があった。
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沙羅(プロフ) - トロピカーナブランケットツッパーナムルさん» めコメントありがとうございます！！そう言って頂けて本当に嬉しいです！！読んで頂きありがとうございました！！！ (2021年7月4日 0時) (
レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
トロピカーナブランケットツッパーナムル - いやこの作新ガチ好き (2021年7月3日 17時) (レス) id: 99e5f8b903 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - でこりんまんさん» コメントありがとうございます！来て貰えて本当に嬉しいです…！！切ない、でも幸せなお話が書きたかったのでそう言って貰えて私も感涙です……！！！読んで頂きありがとうございました！！ (2020年10月26日 12時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
でこりんまん(プロフ) - 幼なじみは個性的から飛んできました……！凄く素敵なお話でうるうるしながらよませていただきました……！！ (2020年10月26日 8時) (レス) id: 5f3c679f42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙羅
| 作成日時：2020年10月25日 19時
