１２月 ページ37
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色付いた葉はすっかり地面に落ちて
山はむき出しになった枝で茶色く染まる。
冷え込む朝や夜は雪が降るようにもなってきた。
『土地神』はお社の前に座って
境内の落ち葉を集める宮司を見ていた。
「すっかり寒くなりましたなあ……」
『せやなぁ。宮司さん風邪ひかんといてな。
人の子は脆いんやて聞いた事あるわ。』
「そう言えば……隣町は雪で大変らしいですよ。
この町も雪が降り始めましたし用心しないと……
……おや、ちょうど降って……」
『ほんまや……
…………私が
『土地神』は落ちてくる雪を眺めながら呟く。
『……宮司さんと過ごした数十年は楽しかったけど
………………もっと素敵なもん、見つけてしもた。』
『土地神』はお社の中に飾られた
絵巻や綺麗な着物に目をやる。
『……長すぎたんよ。私はただの子どもやねん。
神様の声なんて聞けへんかったし、何も見えん。
土地神の私より偉い神様はおるはずや。
なぁ神様、おるんやったら私の願いも聞いて欲しい。
私は信ちゃんが好きや。
私は信ちゃんと一緒に過ごしたい。
私を、元の人の子に戻して欲しい。』
雪が落ちてくる空を見上げて『土地神』は願う。
『土地神』の声は誰にも聞こえない。
『……私が居らんくなってもこの土地は大丈夫や。
めいいっぱい土地神の加護をかけてきたからな。
いつか、その効力が無くなる頃には
きっと新しい土地神が生まれとるよ。』
『土地神』はお社の奥の閉じられた神棚を見る。
そこには厳重に鍵がかけてある。
『……あの中の、"鏡"を割れば、』
精神体である『土地神』の身体を構成するためには
膨大な力が必要である。
今の『土地神』には
少しではあるが皆の信仰と、お供え物の力がある。
『信ちゃんより幼くなってまうかもしれんけど……
ギリギリ、人の姿は作れるやろ……』
だが問題はもう１つ。
こちらの方が重要な問題だ。
──────『土地神』は自分で鏡を割れない。
『宮司さんに頼まなあかんな……』
一般人の手で神棚を開けて鏡を割れば
鏡に溜まっていた力は分散し消えてしまう。
『あと２週間……』
『土地神』はゆっくり立ち上がると、
足音１つ立てずお社前の石段を降りていった。
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沙羅(プロフ) - トロピカーナブランケットツッパーナムルさん» めコメントありがとうございます！！そう言って頂けて本当に嬉しいです！！読んで頂きありがとうございました！！！ (2021年7月4日 0時) (
レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
トロピカーナブランケットツッパーナムル - いやこの作新ガチ好き (2021年7月3日 17時) (レス) id: 99e5f8b903 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - でこりんまんさん» コメントありがとうございます！来て貰えて本当に嬉しいです…！！切ない、でも幸せなお話が書きたかったのでそう言って貰えて私も感涙です……！！！読んで頂きありがとうございました！！ (2020年10月26日 12時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
でこりんまん(プロフ) - 幼なじみは個性的から飛んできました……！凄く素敵なお話でうるうるしながらよませていただきました……！！ (2020年10月26日 8時) (レス) id: 5f3c679f42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙羅
| 作成日時：2020年10月25日 19時
