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no side




さらに一年が経過し、Aは十歳になった。




そして今夜は、問題の日であることを

Aはまだ知らなかった。





.







「おい」

『…………』




突然、背後から名前を呼ばれ

Aは黙ったまま振り返る。




「見せたいもんがある。後で部屋に来い」

『…………はい』




それだけ言って去っていく従兄弟。

従わねば酷い目に遭うことは分かりきっている。




.
.




数刻後、すっかり暗くなった頃に

Aは従兄弟の部屋の前に立っていた。




『あの、』

「来たか」

『ッ!?』




ぐい、と強く腕を引かれて

Aはつんのめる様に部屋に入る。




『どんな、用件ですか』

「お前さぁ……何で笑わないわけ?」




は、とAの口から声が漏れる。

下手をしたら従兄弟を殴っていたかもしれない。




「何で何も言わない?なぁ、何でだよ?
大声で叫ばないのか?嫌だって言えないのか?」




Aは黙って聞いていた。

正確には『何とか怒りを抑えて』黙って聞いていた。





「……ならさぁ…こんなコト、しても平気だよな?」





従兄弟はAの腕を掴む。




『ッ……!?』




そのまま敷かれていた布団へと倒される。




「ほら、叫ばないのかよ。
嫌なんだろぉ?叫ばねぇならこっちのモンだなァ!」




Aの目が恐怖で大きく見開かれる。

初めての恐怖だった。





掴まれた腕の痛み。



視界いっぱいに広がる歪んだ従兄弟の顔。



薄暗い部屋に響く従兄弟の息遣い。






従兄弟の手が着物の合わせ目に伸びる。

乱暴に、肌が見えるまでめくられる。





『ぁ……や、』





声は出なかった。





嫌な汗が流れて、呼吸が苦しくなる。





嫌だ。




嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!





そう強く思った時。

Aの手は頭に着けた(かんざし)に伸びていた。






「ぎゃあっ!!!」






.









従兄弟の手のひらに簪が突き刺さっていた。







「て、めぇ!!」






Aは叫ぶことは出来ない。


助けを求めることも出来ない。


でも、暗殺(ていこう)は出来た。






天性の才能か、Aの技術は凄まじかった。


どんな体制からでも刃を振るえる。


例えそれが小さな(暗器)であっても。






『ッハ、』

「ッ!!!」





簪は上掛けを外すと

その中から鋭い刃が出る仕組みになっていた。

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沙羅(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます!!宇髄さんカッコイイですよね……!!もっとカッコイイ宇髄さんを書けるよう頑張りますので、ぜひ続編の方もよろしくお願いしますー!! (2020年1月30日 21時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - コメント失礼します!宇髄さんは私の推しなので、すんごいかっこいいなあ…。とか思いながら見てます!頑張ってください! (2020年1月30日 21時) (レス) id: 4db94b3ad0 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - めぐちゃんさん» コメントありがとうございますっれ分かります…宇髄さんカッコイイですよね!もっと夢主を素敵な女性に書けるよう、頑張りますね! (2020年1月11日 14時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
めぐちゃん - コメント失礼します!!宇髄さんはカッコいいし夢主ちゃんもかわカッコよくて面白いです。頑張って下さい! (2020年1月11日 0時) (レス) id: 0087c5132c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年12月29日 21時

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