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ひゃくご ページ13

no side


太宰「じゃあせめて、次の仕事は
一緒に連れていってよ。邪魔しないからさ」

坂口「お勧めしませんね」



安吾は横目で太宰を見た。



坂口「犯人捜しや失せ物捜索はともかく、
人間関係の悶着(トラブル)に太宰君を連れていっても、
盛大に延焼するだけです」

太宰「私の所為で延焼する人間関係って何か素敵」

坂口「ほらね」

貴女『今度試してみようかな…』

坂口「辞めてください」

安吾は真顔で制止した。




.


太宰が『超人スタミナ鍋』について話す。


坂口「……織田作さん、貴方が突っ込まないから、
太宰君が暴走するんです」


織田「マスター、金槌はあるか?」

マスター「ありません」

織田「ないのか」

太宰「ないなら仕方ないねえ」



笑って太宰が云う。



坂口「ああ…仕事帰りに早速頭が痛い……」

織田「働きすぎだ安吾」

太宰「働きすぎだね」

貴女『働きすぎだよ』



安吾は睨むように三人を見回した後、

「そのようです」と云った。



坂口「どうも僕はここで無償残業をしている様だ。
今日は失礼しますよ」

太宰「何だ、帰っちゃうの?」

坂口「ここに来て、貴方がたと酒を飲んでいると
自分が黒社会で非合法な仕事にたずさわっている
事を忘れそうになるのです。マスター、ご馳走様」



安吾は自分の荷物を手に取って立ち上がる。



織田「その鞄は出張の荷物か?」

坂口「そうです。大したものは入ってませんよ。
煙草に護身用の武具、携帯雨傘」



安吾はそう云って鞄の口を大きく開いて見せた。

坂口「あとは仕事用の写真機くらいです」



太宰「そうだ、写真を撮ろうよ」

唐突に太宰が明るい声で云った。

太宰「記念にさ」



織田「何の記念だ?」

太宰「四人がここに集まった記念。あるいは、
安吾の出張完了祝いか、不発弾処理祝い。、
その他何でも」



坂口「幹部殿の仰せのままに」



安吾は肩をすくめながら云うと

図嚢から黒い写真機を取り出した。



太宰「かっこよく撮ってよ」

安吾は苦笑しながら太宰や織田、Aを撮影した。



Aは遠慮したが太宰の命令で

織田に捕獲され撮影された。



織田「太宰、何故急に写真なんだ?」

太宰「今撮っておかないと、
我々がこうやって集まったという事実を
残すものが何もなくなるような気がしたんだよ。
何となくね」


太宰はにこりと笑った。




.


その通りになった。


四人のうち一人が、

その後まもなくタヒんだからだ。

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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年5月13日 15時

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