検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:3,542 hit

七歩 ページ8

no side


太宰「まあ────人に迷惑をかけない
清くクリーンな自 殺が私の信条だ。
だのに君に迷惑をかけた。これは此方の落ち度。
何かお詫びを────」


刹那、中島の腹が鳴る。


太宰「……空腹かい少年?」

中島「じ、実はここ数日何も食べてなくて……」


そして太宰の腹も鳴る。



太宰「私もだ。ちなみに財布も流された」

中島「えぇ?助けたお礼にご馳走っていう
流れだと思ったのに」

太宰「?」

中島「「?」じゃねえ!」



川を流れる太宰も太宰だが

奢って貰おうという中島も中島である。



独歩「こんな所に居ったか唐変木!」

太宰「おー国木田君、ご苦労様」

独歩「苦労は凡てお前の所為だこの自 殺嗜癖(マニア)
Aさんが俺を呼びに来てくれなければ
さらに計画が乱れるだろうが!!
お前はどれだけ俺の計画を乱せば────」




対岸で叫ぶ国木田を他所に太宰は中島と話す。



太宰「そうだ君。良いことを思いついた。
彼は私の同僚なのだ。彼に奢ってもらおう」

中島「へ?」

独歩「聞けよ!」


太宰「君、名前は?」

中島「中島……敦ですけど」


太宰「ついて来たまえ敦君。何が食べたい?」

中島「はぁ……あの……茶漬けが食べたいです」



途端、太宰は笑い出す。



太宰「はっはっは!餓死寸前の少年が
茶漬けを所望か!
良いよ国木田君に三十杯くらい奢らせよう」

独歩「俺の金で太っ腹になるな太宰!」

中島「太宰?」



誰だ、と云いたげな顔をして中島は云う。



太宰「ああ、私の名だよ」


そう云う太宰は幻想的に

夕陽に赤く照らし出されている。




.





太宰「太宰。太宰治だ」

八歩→←六歩



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
6人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:沙羅 | 作成日時:2019年2月15日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。