七歩 ページ8
no side
太宰「まあ────人に迷惑をかけない
清くクリーンな自 殺が私の信条だ。
だのに君に迷惑をかけた。これは此方の落ち度。
何かお詫びを────」
刹那、中島の腹が鳴る。
太宰「……空腹かい少年?」
中島「じ、実はここ数日何も食べてなくて……」
そして太宰の腹も鳴る。
太宰「私もだ。ちなみに財布も流された」
中島「えぇ?助けたお礼にご馳走っていう
流れだと思ったのに」
太宰「?」
中島「「?」じゃねえ!」
川を流れる太宰も太宰だが
奢って貰おうという中島も中島である。
独歩「こんな所に居ったか唐変木!」
太宰「おー国木田君、ご苦労様」
独歩「苦労は凡てお前の所為だこの自 殺
Aさんが俺を呼びに来てくれなければ
さらに計画が乱れるだろうが!!
お前はどれだけ俺の計画を乱せば────」
対岸で叫ぶ国木田を他所に太宰は中島と話す。
太宰「そうだ君。良いことを思いついた。
彼は私の同僚なのだ。彼に奢ってもらおう」
中島「へ?」
独歩「聞けよ!」
太宰「君、名前は?」
中島「中島……敦ですけど」
太宰「ついて来たまえ敦君。何が食べたい?」
中島「はぁ……あの……茶漬けが食べたいです」
途端、太宰は笑い出す。
太宰「はっはっは!餓死寸前の少年が
茶漬けを所望か!
良いよ国木田君に三十杯くらい奢らせよう」
独歩「俺の金で太っ腹になるな太宰!」
中島「太宰?」
誰だ、と云いたげな顔をして中島は云う。
太宰「ああ、私の名だよ」
そう云う太宰は幻想的に
夕陽に赤く照らし出されている。
.
太宰「太宰。太宰治だ」
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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年2月15日 22時