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貴女side


帰ってから七瀬さんにこってり絞られました。

鬼のような形相で怖かった…


無理はしないという約束で

今日出かけることを許して貰ったんだけど…



公園を歩いているところで

視界がグラリと揺れ体が傾いた。



貴女『ま、た…怒られちゃう…な』



自嘲気味にそう零せば

誰かが駆け寄ってくる足音がした。


夏目「あの、大丈夫ですか…って…Aさん!?」

貴女『あ…ら…貴志、君…?』


どうやらあの不思議な猫ちゃんもいるみたいで。

強い妖気がビシビシと伝わってくる。


貴志君の…式神かしら…?

だとしたら…貴志君は物凄く妖力が強いのね。




目の前に手が差し出されて

そっと掴めば起き上がるのを支えてくれた。




夏目「俺、水を買ってきますね」


そう言って走っていく貴志君の背中を

ぼんやりと見ていたら

横にいた猫ちゃんがこちらを見ていた。



ニャンコ「何のつもりだ小娘」

貴女『何のって…猫ちゃん喋れたの?』

ニャンコ「白々しい。分かっていただろう」



真っ直ぐ警戒した目で見られる。

…バレていたのね。



貴女『猫ちゃんの…妖力が強いってことは、ね』

ニャンコ「ふん。…質問に答えろ。何のつもりだ」



つもりも何も…



貴女『貴志君には手を出さないわ…』

ニャンコ「…お前も妖力が強いようだな。
それは……お前の中に宿る何か(・・)のせいか?」


嗚呼…そこまで気付かれていたなんて。

痛む頭で必死に言い訳を考える。


貴女『なぜ、そんな事を言うの…?』

ニャンコ「この私の力を舐めるなよ。
いくら誤魔化そうとバレバレだ」


ハッタリには思えないし

本当に分かっているようだ。


貴女『…凄い…のね…正解よ。
私には…とある妖が宿っているの』

ニャンコ「かなり力のある妖だな」


貴女『…そうよ…でも…害はないの…
外にいる人へ影響は出ないし…何もしない』



本当に、そうだった。

絶対に何もしない。見守るだけの妖。



ニャンコ「…高位の妖か」

貴女『……そう、よ』



そこまで言ったところで

ドっと眠気が押し寄せてきた。



ニャンコ「…」

貴女『貴志、君には…まだ、秘密に…』

ニャンコ「はぁ……仕方ないな」

貴女『ありがとう…猫ちゃん…』



まるでテレビの電源が切れるように

私は意識を手放した。



目が覚めるのは

夕陽が傾き始めた頃だった。

漆→←伍



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作者名:沙羅 | 作成日時:2018年12月15日 20時

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