愛すは祓い屋の男【夏目友人帳】 (ページ17)

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拾陸ページ17

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貴女『火神様……』

火神「……………優しいのだなAは、本当に」

置物が小さく震えた。

火神「気紛れであったのに……
我が見える人間の子供が興味深かっただけなのに…」

貴女『それでも、火神様は私を救って下さいました』

火神「……Aが良くても、
そこの的場は……許さないだろう」

Aはスっと的場に顔を向ける。

貴女『静司さん』

的場「…………」

貴女『私なら大丈夫ですよ』

にっこり微笑むAに深くため息をつく的場。

的場「何を言っても、無駄なようですね」

貴女『ええ！私が頑固なのはご存知でしょう？』

楽しそうに笑うAに

的場も呆れたように笑い返す。

貴女『さ、火神様？静司さんの許しは得ましたよ』

火神「呆れた娘だ……」

クツクツと小さな笑い声が置物の中から響く。

夏目「先生……大丈夫なのかな……」

ﾆｬﾝｺ「……火神に力が残っていれば危ういな」

夏目「そんな……！」

小さく交わされるそんな会話に

火神は思い付いたように声を出す。

火神「的場、我の妖力を削れるか？」

的場「削る……？」

火神「そこなナツメが言う通り
このままの力をAに戻したら一大事だ。
並の妖程度まで妖力を減らせるか？」

的場「……やってみましょう」

的場は頷いて用意するべく屋敷へ戻って行った。

火神「さて……迷惑かけたなナツメに斑」

夏目「気にするな」

ﾆｬﾝｺ「ふん……まったくだ」

そっぽを向くニャンコ先生に苦笑すると

火神は再び口を開いた。

火神「迷惑ついでに我らの過去を聞く気はあるか？
無論、Aが良ければの話だが……。
一方的に頼むだけなのはどうも気が引ける」

貴女『私は構いません』

夏目「過去……」

火神「我らの会った時の話しよ。
的場とAの出会いもAの記憶から見ておる」

貴女『まあ！』

Aは驚いた様に置物を見る。

それからそっと笑って夏目に向き直った。

貴女『……聞きたい？』

夏目「……気、にはなります……」

ﾆｬﾝｺ「私はどうでも良いぞ」

貴女『ふふ、静司さんの支度もありますから……
戻って来るまでお話しましょうかしら』

Aは上品に笑って話し始めた。