【夏目友人帳】妖だって人を好きになる (ページ16)

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拾参ページ16

夏目side

この火の灯りしかない山で

ニャンコ先生は一直線に走る

夏目「ニャンコ先生…」

ﾆｬﾝｺ「何だ」

夏目「俺……あの妖、知ってるかもしれない」

思わずそう言うと

ニャンコ先生は少し黙り込んだ

ﾆｬﾝｺ「…そうか。後で話してやれ。無事ならな」

その言葉の意味が今、分かった

あの妖が襲われている

夏目「ッ！やめろぉぉぉ！！！」

バッと振り返ったのは

あの妖に馬乗りになっていた黒い妖

さっき貰った呪符の付いた木刀を投げる

ﾆｬﾝｺ「でかした！夏目！」

ぶつかった妖が一瞬だけ怯む

その瞬間にニャンコ先生が滑り込む

ピカッと辺りが明るくなる

ﾆｬﾝｺ「ふん……」

夏目「だ、大丈夫か！？」

倒れたままの妖に声をかける

貴女『…夏、目？』

夏目「ああ！」

貴女『……すまない、助かったよ……』

見れば口から血を流している

夏目「その、血……は？」

貴女『なに…敵の血さ……ｹﾞﾎｯ…』

夏目「でもアンタも弱ってる！」

貴女『…知ってるさ。
だが……私は戦わねばならぬ。
夏目よ、主も無事に帰してやるからな』

そのまま身を翻して走ろうとする

俺は思わず彼女の足を掴んでいた

貴女『な……！？』

夏目「ダメだ。俺達が行くから
アンタは休んでいてくれ！」

貴女『だから私は…！』

夏目「分かってる！分かってるさ！
それを承知で言ってるんだ。

アンタがﾀﾋんだらどうする？
この山は枯れてしまうんだろ！？

この山は…神々の休む山なんだろ！！」

貴女『！！！』

夏目「頼むから…休んでいてくれ」

貴女『夏目……』

ﾆｬﾝｺ「そいつの言う通りだ。
守っといてやるから祠の中で休んでいろ」

貴女『斑……』

秋麗「斑様、夏目様！ご無事で？」

ﾆｬﾝｺ「コイツを連れていけ」

秋麗「よ、よろしいのですか！？」

リスの様な尻尾を生やした秋麗が

木の上から降りてくる

貴女『よい、祠の中より援護する』

秋麗「は、承知しました」

夏目「秋麗、頼んだぞ！」

秋麗「お任せを」

人型に戻ったAの肩を支え

秋麗と共に去って行く

ﾆｬﾝｺ「まったく…夏目、木刀は」

夏目「ここに」

ﾆｬﾝｺ「行くぞ、あの大木の向こうだ」

夏目「分かった！」