検索窓
今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:27,846 hit

ページ44

no side





「思わず見てたら急に起きて睨まれちゃったから
怒られるかな、って思ってたんだけど……
Aの方が謝ってどっか行っちゃったんだよね。」


『手にジョウロ持ってたから
水やりするのに邪魔になってるのかなって。』





花壇すぐ横だし、と笑う。





「で、その時のAの第一印象は
怖いけど優しそうな子、なんだよね。」


『え、』





驚くAを他所に幸村は話を続ける。





「その印象が決定的になったのは
Aが花壇の花がらを摘んでるのを見た時かな。

あの時もAは怪我してたよ。
でも真剣に、丁寧に手入れをしてた。

だから思わず話しかけちゃった。」





ふふ、と笑う幸村にAはハッとする。





『怪我の手当てしようって言ってきたやつか!!
断っても笑顔で手を引っ張られた!!』


「あはは、真田と柳には止められたんだけどね。」


『後ろにいたあの2人って真田と柳か!!』





ピシャーン、と衝撃を受けるA。

幸村はおかしそうに笑った。





「着いてきて、って言っただけなのに
Aったら大人しくなっちゃったからさ、」


『いやそれは…………うん、何でもない。』





その時の幸村の笑顔が怖かったなんて

口が裂けても言えない。





『……怒られたら嫌だな、って思った。』


「ふふ、俺そんなに怒らないよ。」


『お……うん、そうだね。諭すタイプだもんね。』





大人しく頷くA。





『保健室で手当てして貰ったんだよね。
うわぁ……懐かしいなあ、』


「擦り傷ばっかで痛そうだったのを
よく覚えてるよ。」


『当時は全然気にならなかったなあ。
幸村に手当して貰ってから痛く感じる様になった。』


「そうなの?」





Aはハッとして慌てた様に否定する。





『あ、いや……悪い意味じゃないんだよ?
誰かと居るのが温かいことなんだ、って
怪我してると痛くて辛いなあって思い直したの。』



「……そっか。なら良かった。
あ、そう言えば何でAは花がら摘みしてたの?」





花がら摘み。

咲き終わって落ちた花なんかを取ることを言う。





『……実はロシアとアメリカに住んでた頃、
無駄に広い庭と温室があってね……』


「え、凄い。」


『そこでよく庭師さん達と遊んでて、
花がら摘みとか教えて貰ってたから思い出したの。』


「へぇ……
だからAは意外と花に詳しいんだね。」





そう言って幸村は笑った。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
56人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

沙羅(プロフ) - I like chocoさん» コメントありがとうございます!気まぐれ更新ですが頑張りますねー! (2020年3月9日 14時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
I like choco - お、面白い!続き待ってます! (2020年3月9日 13時) (レス) id: 1b7c1dd1e9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:沙羅 | 作成日時:2017年6月13日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。