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ベンチに座ったAに幸村達が詰め寄る。
「A！手塚ゾーン出来たの！？」
『手塚ゾーン？何それ。』
「今の技だよぃ！動かないのにボール返したろ！？」
『あぁ……取れないなら来て貰うと思って。』
「初心者が出来る技では無いだろう……！」
ニッコリ笑ったAはすぐに笑顔を消す。
『私が初心者だとは一言も言ってないんだけどね。』
「「！」」
『……マネージャー、意外と楽しいんだよね。
辞めるのちょっと嫌かな、なんて。』
Aは困った様に笑いながら
ラケットを掴みコートに戻る。
『さて、次は
「ええ！」
田中は女子シングルス地区大会出場経験あり。
『シングルスってことはこの勝負、専門だよね。
……もう遊ぶの辞めるわ。』
Aはニィ……と笑うと
先程までとは明らかに違う構えをとった。
「ｯ……！」
サーブ権を得たAは
軽くボールをついて上に投げる。
『普通のサーブ。』
ドゴッ、という鈍く重たい音が響く。
素早くコートに滑り込んだボールは
あっという間に田中の背後へ飛んだ。
「えっ……あっ、１５−０！」
『どんどん行くよ。』
トーン、トーンと２回地面についたボールを投げ
軽く腕を捻りながらラケットを振る。
『普通のスライスサーブ。』
回転のかかったボールは
サービスコートに触れた途端、ほぼ真横に飛んだ。
「え"っ……！」
「スライスサーブ……！？」
「とんでもない回転数だ……」
「サッ、３０−０！」
Aはむぅ……と小さく唸りながら
軽く腕を回した。
『なまってるなァ……』
「なっ、アンタ、何者なの！？
こんなサーブ打つ人見たことないわよ！？」
『え？それは"女子で"って話でしょ？
男子はポンポン打つもんな。』
田中は言わずもがな。
コート外も騒がしくなる。
『てかさァ……
"ただの"スライスサーブで騒ぎすぎでしょ。
もっと打てる人いるから。次、行くよ。』
今度は真っ直ぐ飛んだボール。
田中も気を取り直してリターンを返す。
「ｯ重、」
『よ、』
大きくラケットを振り抜いたはずなのに
ボールはストン、とコートに落ちる。
回転があるからこそだった。
「Aは経験者なんだね……」
「それもかなりの腕前だな。」
「いいデータが取れそうだ。」
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沙羅(プロフ) - I like chocoさん» コメントありがとうございます！気まぐれ更新ですが頑張りますねー！ (2020年3月9日 14時) (
レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
I like choco - お、面白い！続き待ってます！ (2020年3月9日 13時) (レス) id: 1b7c1dd1e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙羅
| 作成日時：2017年6月13日 23時
