第二十話 ページ22
｢…何しに来たんですか、ジョゼフさん｣
広くも狭くもない部屋の中、辛うじて数人分の距離を取り尋ねる。
｢そんなに警戒しないで欲しいな。少し話がしたいだけさ｣
『さあ、お話しようか。』
ゲーム中に聞いた悪魔のような囁きが脳裏を過る。
全身にぞわり、鳥肌が立った。
反射的に後ろ手でドアノブを握る。
扉を開けて食堂に走って…美智子さん達はきっと未だお茶しているからそこまで辿り着けたら…。
｢おっと、逃げるのは無しだよ｣
いつの間にか数センチまで距離が詰められ、ひっと息を呑む。
ドアノブにかけた手はあっさり解かれ、そのままその手を引かれベッドへ向かう。
｢館で騒ぎを起こす程お馬鹿じゃないさ、本当に話すだけ。信じて欲しいな｣
Aをベッドに座らせ、ジョゼフは元の椅子に腰を下ろして緩く左右に首を振った。
｢人の部屋に勝手に入る人を信用できると思います？｣
｢それについては謝るよ、…こうでもしないと君は会ってくれないだろう？｣
ゲームでは会えないし、と部屋のカレンダーを見ながらぼやく。
｢僕は君と二人きりで会って話したかったんだ｣
端正な顔、艶のいい唇から紡がれる言葉。
彼の本性を知らない人間ならば、今の一言で舞い上がり、心の臓が破裂しそうなくらいドキドキするのだろう。
…否、自分も別の意味でドキドキはしているが。
｢…私、今からゲームに出ないといけませんから｣
勢い良く立ち上がり、彼に背を向ける。
｢ふーん…そんなにゲームに出たいかい？｣
｢トレイシーと約束しているので｣
箪笥から護符を取り出し胸元に仕舞おうとすると、指に何かが触れた。小さなそれは部屋に入る前にウィラから貰った御守りだった。
取り出して、部屋の明かりに照らす。
廊下が薄暗いため渡された時は良く見えなかったが、こうして見ると余り布とは思えない程上質な布生地でできていることが分かった。
｢…嗚呼、そんなものを持っていたのか。道理でやけにイヤな香りがすると思った｣
眉を寄せるジョゼフに、Aはやっと御守りの意味が理解できたような気がした。
＿これは多分、ジョゼフさん避けね。
ウィラがここまで予測していたかどうかはさておき、彼の様子からして効果はてきめんだ。
Aは小さいながらも元気と安心感をくれるその御守りを、大切に握り締めた。
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ゆう - おジョゼかっこいい！ (2021年3月21日 21時) (
レス) id: fdf829f708 (このIDを非表示/違反報告)
シマエナガ(プロフ) - 要さん» そうだったんですね...汗 素敵なお話なので是非残してください！ (2019年2月16日 22時) (レス) id: 56182cb6ed (このIDを非表示/違反報告)
要(プロフ) - シマエナガさん» ありがとうございます！そうなんです、書いた後にそれを知って泣 消すのも勿体なかったのでそのままでいかせて貰いました、、、！ (2019年2月16日 2時) (レス) id: 85394da7f9 (このIDを非表示/違反報告)
シマエナガ(プロフ) - いつも陰ながら応援しています...！ジョセフさんかっこよくて素敵です泣 これからも楽しみにしてます！ それと余談ですが、バレンタインに女性からチョコを渡すと言うのは日本だけらしいです...(でも可愛いお話で好きです...！) (2019年2月15日 23時) (レス) id: 56182cb6ed (このIDを非表示/違反報告)
要(プロフ) - ナ子さん» ありがとうございます〜！そう言って頂けると嬉しいです！頑張ります〜！ (2019年2月14日 7時) (レス) id: 85394da7f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：要 | 作成日時：2019年2月11日 4時
