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第11話「パン太郎」 ページ15

〜アカツキside〜
駆「鬼ヶ崎!!...くそっ(ガンッ)」
駆堂さんが、ベランダのふちを殴り、焦ったような悔しそうな顔で座り込む。そんな駆堂さんに声をかけようとした俺は、ふとカイレンさんの言葉を思い出す。

___後ろ、何か...

入「後ろ...」
忍「...俺が調べる」

忍霧さんはナイフを取り出して教室の扉側へ向かっていく。俺は駆堂さんに近付いて声をかける。

入「...あの、駆堂さん。カイレンさんは...」
駆「知らねーよ...見たくない...」
入「...じゃあ、俺が見ます。」

もしかしたら、カイレンさんは生きているかもしれない。この高さから地面に落ちて、無事でいられる筈はないとわかっていながらも、少しの期待を胸に下をのぞく。

いや、正確にはのぞこうとした。

ベランダに近付いて下をのぞこうと目をつむり深呼吸した俺の上に影ができる。...見上げるとそこにはパン太郎と、体を抱えて苦し気に眠るカイレンさんがいた。

入「カイレンさん...」
駆「...あ?パンダ...鬼ヶ崎!?」

パン太郎は苦し気なカイレンさんをそっと頭の上から降ろし、こちらに渡してくる。駆堂さんがカイレンさんを抱き抱えて教室の中に寝転がらせる。俺もパン太郎にお礼を言ってカイレンさんの方へ行く。忍霧さんも気付いて近寄ってくる。

駆「鬼ヶ崎、鬼ヶ崎!目ェ覚ませ!!」
忍「おい駆堂、あまり揺らしては...」
駆「うっせェ!鬼ヶ崎、しっかりしやがれ!」
「...ぅ...」

揺らされながら大声で呼び掛けられ、カイレンさんは目を覚まし起き上がる。

「...駆堂君に、忍霧君?...俺ァ、一体...」
入「そこから落ちてしまったんですが、パン太郎が助けてくれたみたいです。」
「パン太郎が?...そうか、ありがとなァ。それと悪かったな、迷惑かけて。」
駆「...別にいい。それより、おめーがさっき言ってたのってなんだったんだよ」
「え、何のことでェ?」
入「後ろに何かいるって言ってたでしょう?」
「...あぁ、あれか。いや、落ちる寸前、後ろに誰かいた気がしたんでェ。」
忍「...誰もいないが。」
「んじゃ見間違えかもなァ。...っ、と」

立ち上がろうとしたカイレンさんがふらついて倒れそうになる。俺は手を伸ばしてカイレンさんを掴み倒れないようにどうにか支える。

入「大丈夫ですか!?」
「っ、あぁ、悪い...。ちょっと体が痛くてな」
忍「だ、大丈夫か...?」
「戻ったら手当てするから、そう心配しなさんな。」

何でもないように笑い俺から離れ、カイレンさんは机の方へ近付く。

第12話「こっくりさん」→←第10話「トモダチ」



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作者名:ももや | 作成日時:2019年7月28日 15時

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