夢の中の君は。 (ページ49)

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「いらっしゃいませ！おはようござ…」

「おはよ、朝からお疲れ様」

バケットハットを深くかぶっていて顔は見えないけど
声だけで誰か分かり思わず声を潜める

「み、宮近、さん…！なんでここに」

「昨日教えてくれたじゃん。
現場行く前に飲もうかな～と思って。
カフェモカにしようかな」

「かしこまりました、
あの本当に昨日はありがとうございました」

気持ちだけでも、と従業員割引のボタンを押しながら
軽く頭を下げる

「いやいや…今日は来てない？大丈夫？」

外まで見渡すように目線を送った後
小声で宮近さんが尋ねた

「今のところは。店長にも相談したので来たとしても警察に対応してもらえることになりました」

「そっか。よかった」

「しばらくは明るいうちに帰れそうですし。
本当に助かりました、飲み物は向こうで。」

お釣りとレシートを渡し会釈をする

「うん、ありがと。おつかれさま」

「お疲れ様です、お仕事頑張ってください」

「Aちゃんもね、」

「…あの！」

ドリンクを受け取り店の外へと出ようとする背中に
思わず声をかけるとすぐに宮近さんが振り返る

「ん？」

「…あ、いや。なんでもないです。
またいらしてくださいね」

「ありがと、じゃあね」

店を出て足早に横断歩道を渡る背中にため息をつく

＂宮近さんは、あの時のカイトくんですか？＂

この、たった一言が聞けない