夢の中の君は。【3】 (ページ3)

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「かんぱーい！」

知らない男性のひと声で
グラスがぶつかり合う音が響く

合コンではないと言っていたけれど、

クライアント先の営業マンが3人、

私とナナさんとナナさんの同期らしい他部署の人3人で完全に周りから見ると合コンのような状況に

やっぱりくるんじゃなかったと少し後悔

「Aちゃんは一個下なんだ！彼氏いるの？」

さっそく、
馴れ馴れしく隣に座ってきた男に声をかけられる

「いや…いません、ね」

「フリー？まじで！ラッキー」

連絡先交換しようよ、と
スマホを取り出されたところで

ビールジョッキを持ったナナさんが間に座る

「Aちゃんは恋愛お休み中なんです～
私と交換しとく？(笑)」

「ナナちゃんとでもいいか！(笑)
Aちゃんもあとで交換してね？」

ナナさんに入られてバツが悪いのか
なんとなくその場を男が離れていく

「ナナさん、すみません…って
私恋愛関係の話してないですよ、ね？」

海人とのことはバレちゃいけないから、
そもそも彼氏がいないとずっと言っていた

「聞いたことなかったけどなんとなく？
そんな気がしたから！ごめんね、無理矢理」

一杯飲んだら帰っていいよ、払っとくからと

ナナさんが小さくウインクする

さすがに払ってもらうのは申し訳ないから

頼んだドリンクの代金を少し多めに置いて、
その場を後にする

店を出る直前、
後ろに人の気配を感じ振り返ろうとすると

「A…ちゃん？」

聞いたことのある声に思わず立ち止まる

「元太…くん」

振り返ると、

目をまんまるにして
私を見つめる元太くんがそこにはいた