_episode12 ページ14
_side.仲西 海月
その住宅街には他にも1、2軒崩れていない家があった。
最初の家から5mほど歩いて、次の家に行く。
お邪魔します、と呟いてまた家の中を漁る。
先ほどの家よりも状態が良く、缶詰もたくさんあった。
ほくほくになりながら、この家を当面の拠点にしようかなぁ、など考える。
そして今度はそこからそう遠くない家に上がる。
なんだか緊張感も薄れており、おじゃましまーす、と普通の話声で言った。言ってしまった。
___さっきと同じように家に上がると、リビングに、その少年はいた。
少年、と言っても俺と変わらないくらい。
燃えるような赤い髪は短く切りそろえてあり、頭にはゴーグルをつけていた。
服装はシャツにベスト。きっと、元々は白いシャツだった。
だが、それは紅に染まっていた。この色は知っている。
血だ。
明確な死の匂いをまとった彼は静かに俺のほうに歩いてきた。
海月「っ、誰か、殺したの……?」
後ずさりながらそう問いかける。
???「まだ殺せてない。逃げられたから」
相手は淡々と答えた。
まだ。
まだ、ということはこれから殺すのだろうか。
そして俺も……殺されるのだろうか。
さっきのリュックサックが頭をよぎる。
___俺も、ああなるのか……?
頭の中で警鐘が鳴り響いている。
逃げなきゃ、逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ。
バッと振りむいて走り出した。
出口に走る。
でも、義足がもつれてうまく走れない。
ドアを開け外に飛び出る。
が、そのまま段差につまずいて転んだ。
後ろを見ると、彼はもうすぐそこだった。
???「残念だったな」
相手は俺に向かって銃口を突き付けた。
少し、笑っているように見えた。
???「それじゃ」
相手が、引き金を、引いた。
_____仲西海月 死亡_____
_____残り18人_____
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作者名:葉月/月のツッキー/陰鸚 x他3人 | 作者ホームページ:No.
作成日時:2022年6月9日 19時