27話 1種の挨拶 ページ29
昨晩抱きしめられたことを思い出してハッとした。これは手を出されたのだろうか。
「いや、顔赤なってるやん」
「いやいやいや!!」
「今思い浮かべてるの、なに?教えて欲しい」
センラさんの真っ直ぐな目には嘘をつけない。優しいけれど、どこか全てを見透かされているような気がしてしまう。
「夜、帰り道で…センラさんに抱きしめられて…それでセンラさん、私のこと抱きしめたまま寝ちゃったんです」
覚えてないですか?と聞くと首が取れそうなくらいブルンブルン振りながら「覚えてない」と連呼する。おかしくて笑ってしまった。
「えぇ…なんで俺…キモすぎやろ……何やってんだよ………………本当にすみませんでした」
「ふっ」
「なんで笑うねん」
ブツブツと自分に対してガン引きしている独り言を零した後の切り替えの速さが可笑しくて吹いてしまった。
「ハグはセーフですから。挨拶の1種ですし」
「確…かに…?」
と言いながらもセンラさんの頭には?が浮かんでいる。それを無視して私は話を進めた。
「でしょう!私達は昨晩ハグという1種の挨拶を交わしたのです。はい、これでOKですね!」
この話に終わりをつけて私は食べかけの朝食に手をつけた。するとなんだかふっふっという謎の音が聞こえたので顔を上げると頬杖を立てているセンラさんと目が合った。
「どうして笑ってるんですか」
頬杖をやめてご飯を食べ始めるセンラさん。私から目を逸らして視線はご飯の方に移った。
「んー、いや…そういう所マジで好きだなーって。いや深い意味は無くて」
真面目な顔で好きという言葉を口にしたセンラさんに、私は過剰に反応してしまった。
そしてまた美味しそうに頬を緩まして食事を進め始める一方、私は完全に手が止まってその姿をひたすら見つめていた。私のどういう所を好いてもらえたのかあまりピンとしなかったけれど、そう思っていただけたことが嬉しくて胸いっぱいに幸せが広がった。
「…いや、深い意味もあるかもしれへん」
私はその深い意味とやらをしばらく考えたけど、驚く程に何一つピンと来なかった。
「ごめんな、推しがこんなんでなぁ」
どういうことだろう、目を逸らして苦笑いをするセンラさんに私は何も言葉をかけられなかった。
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みみりん(プロフ) - みるくれーぷさん» いえいえ〜!◎ 只今確認してみたら録画が公開されておりました!ミッドナイトの結構序盤の方でお話されておりました…!是非!!(?) (2022年9月17日 3時) (レス) id: dc9277ae27 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷ(プロフ) - みみりんさん» ありがとうございます!録画が出たら見てみます! (2022年9月17日 2時) (レス) id: 30587fe9a9 (このIDを非表示/違反報告)
みみりん(プロフ) - みるくれーぷさん» コメントありがとうございます!!昨日(日付的には今日)のセさんの配信になります…!まだ録画が公開されていませんが、危ない発言は無かったと思いますので近いうちに公開されるかと思います…( ; ; ) (2022年9月14日 21時) (レス) id: dc9277ae27 (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷ(プロフ) - いつも小説を楽しく読ませていただいてます!占ツクの話とはいつの誰の枠か教えていただくことは出来ますでしょうか? (2022年9月14日 19時) (レス) @page22 id: 30587fe9a9 (このIDを非表示/違反報告)
みみりん(プロフ) - きよなさん» わぁ!!!ありがとうございます…嬉しすぎて涙出てきそうです()これからも頑張ります! (2022年8月25日 19時) (レス) id: dc9277ae27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみりん | 作成日時:2022年7月31日 21時