Zoe (ページ2)

今日:57 hit、昨日:600 hit、合計:866,882 hit

- ページ2

.

つい数週間前のわたしは、部屋で聞いた話が衝撃的だったのもあったけど、デビューって、その、、自分のすべてをかけていたようなその言葉を聞いて、どこかハイになっていたのかもしれない。

HC「ねえ、そっちじゃないんだけど」

「ごめんなさい」

HC「ほんと鈍臭いよね、わざとやってる？」

「…」

NCT127のメンバーとして選ばれたわたしはメンバーの皆さんと顔合わせをして、少しずついっしょに練習するようになってきたわけだけど…。

こんなんなら、断った方が良かったんじゃないかとさえ思うくらい冷たい視線。まあそのほとんどがヘチャンさんからのもので、テヨンさんは気遣ってくれてるからなんとか。

韓国ってこう、同い歳の絆がすごくつよいというか。日本もそうだけど、日本よりも上下関係がきびしいからなのかな？同い年のお友達をすごくたいせつにしてる印象があったから。

ヘチャンさんとわたしはおなじ2000年生まれだから、少し期待してた。仲良くなれたらいいなって、思ってたんだけど。

MK「ヤ〜ドンヒョガ、そんなに強く当たるなよ」

HC「ヒョンがそうやって味方するのもムカつく」

MK「味方とか敵とか、そういうんじゃないだろ…」

いろいろ考えてたらどんどん視界が滲んできて、こんなところで泣きたくないのに。ヘチャンさんにこうやって言われて言い返せずに泣くのがいやだ。また言われるんだ、そうやって泣けばヒョンたちが助けてくれるもんね、って、そんなふうに。

「ごめ、なさ、ちょっとお手洗いに」

TY「Aちゃん、」

長い髪で下を向いて顔を見えないようにしてたけど、それでも今は少しがまんできそうになくて、テヨンさんの方に近づいてそう伝えて練習室から出た。引き止めるようなやさしい声が聞こえたけど、あの場所で大泣きするなんて、そんなのはいやだった。

練習生のときに使ってた練習室じゃなくて、アーティスト専用みたいな新しい階にまだ慣れてないけど、ぼろぼろ溢れる涙を拭いもしないでトイレを探す。

ここの角を曲がったところに、って、そこで、男の人とぶつかった。大きい目がきらきらしてるその人に謝ると、隣にいた三日月の目の男の人が心配そうにわたしを見つめてるのが分かって。

あ、ってびしょびしょの顔をかくすようにお礼を言った。わたしの思ったとおり、ここの角を曲がったらトイレだった。

.