すとぷりの酒豪お姉さん2

＊10 ページ21

.



「なーくんほんとなにしに来たのw」

「ええ？いいじゃん、俺だってたまにはゆにちゃんと2人でゆっくりしたいのー」

「なにそれかわいいねw」


配信を切ってリビングに移り、2人でソファーに並んで座る。『ゆにこ』や『ゆにちゃん』でエゴサをかけると、配信の余韻をつぶやいてくれてるツイートがたくさん出てきた。

途中暗くなっちゃったけど大丈夫だったかな。嫌な思いした子いないかな。大丈夫かな。


「ゆにちゃんの悪い癖だよね」

「んぇ？」

「んぇってwwwだから、ゆにちゃんの悪い癖だねって。そうやって俺にも相談しないとこ」

「……あー」

「1人で抱え込まないでねって言ったじゃん。忘れたの？」

「……や、まあ、そうだけど」

「それとも俺じゃ頼りない？年下だから相談しにくい？」

「違うよ、そうじゃなくて」

「じゃあなんでなにも言ってくんないの？俺そうやって1人でしんどい思いさせてるほうが嫌だよ」

「……うん」


なーくんが頼りないとか、メンバーには相談しにくいとか、そんなんじゃなくて。

単純に、わたしが人に頼れないだけ。

昔から思ってたことを飲み込むことが多くて、笑って受け流せば最小限で済むって思ってるところがあって。


「……なんか、なんて言えばいいかわかんなくて」

「うん？」

「アンチにさ、消えてほしいとかゆにこいらないとか言われてさ、そりゃ傷ついてはいるんだけど、なんか……それを、どうやって伝えればいいのかわかんなくて」

「うん」

「頼りないとか、そういうんじゃなくて、その……なんか、たぶん、自分が飲み込んじゃえば済むことだよなって、思っちゃって、」

「うん」

「…………みんなに、めんどくさいって、思われたくない。相談して、なんだそんなことかって、そんなことで傷ついてんのかって、ガッカリされたくない」

「思わないよ。めんどくさいとか思わないし、たくさん傷ついてるのに、そんなことかって思ったりしない。ガッカリするわけないじゃん」

「……うん」

「俺言ったじゃん。ゆにちゃん1人だけに悲しい思いさせたくないって。なんかあったらすぐ言ってって、絶対1人にさせないからって言ったじゃん」

「っん、うん、」

「ゆにちゃん下手くそすぎだよ、もっと俺たちに甘えていいんだよ？もう"ゆにこ"は1人じゃないんだからさ。"すとぷりのゆにこ"なんだよ」


なーくんの手が頭に乗る。

ゆっくり優しく撫でられて、ぽろぽろと涙が膝に落ちた。


　

＊11→←＊9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す