お隣、08日目 ページ8
▽
「治君ってアレだよね、中学の頃＿＿」
「は！？お前覚えとるんか！？！」
「えっえっ、何！なんで侑君がそんな驚くの…」
俺のあまりの食いつきように、水野Aは若干引いたような顔をする。
お前にだけは引かれたくない、という心の声をぐっと抑え、本題に入った。
「お前…やっぱりひょっとこの」
「懐かしいねー！感動の再会じゃん！」
治と水野Aは過去を懐かしむような顔で楽し気にお喋りし始めた。
えっ俺は？俺の存在は無視か？
しかもコイツらは一つ、決定的な違和感をガン無視している。
「ちょお待て、昔と名字が違うやんけ！」
「？私はずっと水野だけど」
んなアホな。
サムが過去に知り合ったひょっとこ女は水里Aや。水野やない。
そうAに告げるが、本人はすっかり分からないという顔で首を傾げている。首を傾げたいのは俺のほうや。
それに俺にはもう一つ疑問がある。
サムは何でこの女にそんなに執着するのか。水野の名前を出した時のサムは普通じゃなかった。あんな反応をするには何か理由があるはずだ。
名字が違うことなんてまるで気にせずベラベラと楽し気に喋り続けるサムと水野Aを見て、俺はため息を漏らす。
いったい何がどうなっとるんや。
「Aはなんも変わってないなあ」
「治君は大きくなったねえ」
「ばあちゃんか」
なんやこいつらの会話。
サムの話だと中学時代関わったのは『俺、上級生にいじめられてる(勘違い)事件』の時だけのはずや。
それなのになに十年来の親友みたいな雰囲気醸し出しとんねん。
「侑君と治君って、双子だけど顔以外似てないね〜」
「そーか？」
「侑君のほうが問題児だね」
「お前にだけは言われとうない」
どう考えても水野の方が問題児や。
俺も中々の問題児やと思うけど、流石に遅刻してきたのにこっそり教室に入ったりしないし、教室で朝からたこ焼きも食わなければひょっとこのお面を学校に持ってきたりもしない。
俺のがよっぽどまともや。
勝ち誇ったような顔で水野を見ると、俺には目もくれず治と楽しそうに喋ってる。
それがなんか、自分のおもちゃを取られたみたいで、少し悔しかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 174人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです！そちらの曲も聞いてみたいと思います！ (2020年5月27日 13時) (
レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます！！OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました！聞いてみてほしいです！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬田 | 作成日時：2020年5月15日 20時
