お隣、07日目 ページ7
▽
「…っていうことがあってやな」
「いやくだらなっ」
真面目な顔をして語り出したかと思えば、要は中学時代のサムが勘違いしてひょっとこ女と暴走したってだけの話やんけ。
しかもサムの話に出てきたAは「水里」Aであって、俺の知ってる「水野」Aとは別人のはずや。
「振り出しに戻っただけやん…」
名字が違うってのは決定的だ。確かに俺の知っている水野Aもひょっとこのお面をかぶりそうな感じではあるけど、名字が違うんじゃ仕方ない。
似て非なる別人だと認めるしかないのだ。
それに、よくよく考えてみたらおかしい。
もしそのひょっとこ女が水野Aだとしたら、俺は彼女の顔を当時知らなかっただろうし、声も聴いてない。なんとなく見覚えがある、聞き覚えがあるというこの感覚に説明がつかない。
どうすればええんや、とあからさまに気分を落とす俺に、サムが呆れ顔で呟いた。
「俺がその水野Aに会えば分かるんちゃうか？」
「……おっ、おま、！天才か！？！？！？」
「ツムがバカなだけや」
なんでそんな簡単なことに気が付かなかったのか。
今だけは自分がバカだと認めよう。
いややっぱ認めへん。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△
場面は変わり、翌朝。
朝練が終わった俺とサムは、いつもの5倍は急いで教室に向かった。宮兄弟が競歩してる…！なんて声が聞こえたような気がしたけど、意味が分からん。
「おい！！！水野A！！」
「っんぐ、…っごほっ、なんですか！っああぁ〜！私のたこ焼きが！」
「なんで朝からたこ焼き食っとるんや自分」
急に名前を呼ばれて驚いたらしい水野Aは、手に持っていたつまようじからたこ焼きがすっぽ抜けて床に転がり落ちるのを見て「私のたこ焼きちゃんっ！！！」と叫んでいる。あほか。
チラリと、隣でなにも言わず突っ立っているサムの顔を覗き見ると、水野Aの顔を食い入るように見つめていた。俺の双子、なんか最近怖い。
「お、同じ顔が二人…！」
水野は俺とサムの顔を交互に見てから、目を輝かせて言った。感動するポイントがほんまにガキやなコイツ。
「で、サムどうや？見覚えあるんか？」
「水野Aさんって言うんか、自分」
「そうだよ！えーと」
「治や、宮治」
治君ね〜と言って何が面白いのかケラケラ笑う水野A。どうやらサムの名前を聞いてもピンと来たりはしないみたいだ。
(……やっぱり別人か)
諦めかけた、その時。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです！そちらの曲も聞いてみたいと思います！ (2020年5月27日 13時) (
レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます！！OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました！聞いてみてほしいです！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬田 | 作成日時：2020年5月15日 20時
