お隣、03日目 ページ3
▽
隣人としてあと1か月やっていくには、まず水野Aの生態を知る必要があると思う。
そこで俺は考えた。考えに考え抜いた末、とりあえず一日のアイツの行動を観察してみることにした。
おい、考え抜いた挙句ソレとかバカだろって言うたやつ、許さへんからな。
__しかし今日に限って水野Aは欠席のようで、俺の隣の席はぽっかりと空いている。
(タイミングわっるいなあ)
休まなそうなタイプに見えたのに、そうでもないんやな。そんなことをぼーっと考えていたら、視界の端に、何やらコソコソ動く物体が目に入った。
なんやあれ。
(……ちょお待て、あれ水野やないか？)
じいっと目を凝らしてみると、きょろきょろと周りを見渡し、おそらく先生にバレないようにこちらに近づいてくる女は、見覚えのあるアホ面、つまり水野Aである。
アホやアホやとは思っとったけど、ここまでくるとアホとかそういうレベルじゃない。
ついに俺の席のすぐそばまでやってきた水野は、俺の呆れ顔を見るなり小さい声で「顔、怖いよ！」と指摘してきた。そんな話しとる場合ちゃうやろ。
ソロソロと俺の後ろに隠れながら、なんとか自分の席に着いた水野。
ふうっと小さく息をついた後、こっちを見てヘヘヘと笑う。俺を共犯みたいにすんな。
「いやあ遅刻しちゃったよ」
「だからってコッソリ忍び込むなや」
「だってバレたら怒られちゃうでしょ？」
怒られるのやだもんね、と言って声を抑えつつケラケラと笑った。ほんま、訳の分からん女や。
こんな調子で、コイツの生態とかわかるんやろか。
はあぁとこっそりため息をつく。
そもそも仲良くしたいわけでもないのに、コイツについて知ったところでどうしようもないんじゃないのかと思い始めてきた。
……でもなあ。
こいつ、どっかで見たことがある気がする。
いや、聞いたことがあるのか？よお分からんけど、なんかつっかかって気になってしまう。
(サムに聞いてみるか)
そうすれば何かわかるかもしれない。
そんなことを考えて居たら、授業終了のチャイムが鳴った。
「あ、水野は最初いなかったから出席カウントしないぞ〜」
「……え！えっ、えっ、バレてないと思ったのに！キィイィイ！！！」
…ほんまにこんなアホ女、知り合いにおったか？
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 174人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです！そちらの曲も聞いてみたいと思います！ (2020年5月27日 13時) (
レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます！！OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました！聞いてみてほしいです！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬田 | 作成日時：2020年5月15日 20時
