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本物 ページ8
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重い身体を起こして朝日をあびる
今日はバイトもないし、大学もまだ夏休みだから
久々に外にでも出ようかと仕度をして家を出た
口元には新しく買った濃い赤色の口紅を刺して
新しく買った靴を履いた。
元太とのこんな関係が続いてもう2ヶ月近く
経とうとしている
私は元太のことを何も知らない
友達の友達からの紹介だから
どこの大学かもわかんないし、
大学に行ってるのかも知らない。
元太が話す感じだともう働いてるっぽいけど、
普通の企業じゃないことも薄々気づいてた
でも別に言及しようとも思わない。
知ってるのは年齢と名前 それだけ良い
お互いに干渉しない
そのルールだけで繋がっているから
それでも、今だに離れられないのは
香水を新しくした時だって
前髪を少し切ったことにだって
そんな些細な変化に気づいてくれるからかな。
" 恋人じゃないのに恋人みたいな距離感 "
会えない日々を数えてこっちを見てくれはしない
ことをまた忘れてしまっている
だから知らなくていいの、彼の優しさを
知ってしまったら私は多分もっと欲張りになるから。
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作者名：もふ子
| 作成日時：2021年3月7日 21時
