あなたと布団 ページ31
ぽかぽかと暖かい。
誰かに包まれているような、ふかふかとした感覚と私の身体にかかる重み。
心地いい。
私はいつもの時間に目を覚ます。
ん?
『ん"!?』
目を覚ますと何故か寝転んでいて、あなたの寝顔が目の前にあった。
なんか前もこんなことがあったような....
いや、今はそんなことはいい。
高そうなふかふか布団に私はなぜ杏寿郎くんと寝ているのか。
ふと、私が握っているものをにぎにぎと確かめるように握る。
彼の手を握っている。
瞬時に察した。
私が寝たかどうか心配で見に来た杏寿郎くんが座って寝ている私を布団に寝かせたが、私が手を掴んで離さなかったため、仕方なく、一緒に寝た。
ということだろう。
我ながら辻褄のあう推理だ。
いや感心している場合ではない。
彼の腕の中から出ようと体をよじるが出れる気配がない。
今日はお店は定休日なので問題は無い。
が、ここから出て、お礼に朝ご飯の支度でもして、槇寿郎さんと千寿郎くんにもご挨拶をして、実家にもよりたいが。
ビクともしないし起きる気配もない。
一層抱きしめられる力が強くなった。
私は彼の胸に顔を押し付けるような形に。
ふかふかな布団に暖かい彼のぬくもり。
あなたの匂い。
何だかとても眠くなってくる。
隊服ではないあなたの寝巻きの端を掴む。
耳を彼の胸に当てる。
そして目を閉じ、彼の鼓動を感じる。
とくん、とくんとなっている。
生きている。
心地の良い音だ。
あなたはいつ死んでもおかしくはない世界で生きている。
昨日は改めて、実感したのだった。
ちらりと顔を上げ、彼の頬に撫でる。
いつもはあげている前髪を下ろしており、その姿にきゅんとする。
いつもより幼い、そして安心しきった顔で寝るあなた。
まつ毛は思っていたより長く、目元を撫でるとぴくりと反応した。
「んんん」と声を出し、私を抱き寄せる。
くすぐったかったのだろうか。
愛らしい。
私はくすくす、っとつい笑ってしまう。
私の視界には綺麗な首筋に少しはだけた寝間着から覗く胸元がある。
私は悪戯でもしてやろうと首筋に口付けをする。
『昨日の仕返し』
ぽつりと口に出す。
跡はつける勇気も付け方もよくわからなかったから口付けだけ。
満足して彼の胸に頭を押し付ける。
「跡はつけてくれないのか?」
『え"』
くすくすと頭の上からあなたの楽しそうな声が聞こえた。
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ねむこ(プロフ) - 柑橘蛍さん» 柑橘蛍さんコメントありがとうございます〜!わかります.....推しは尊いですよね....読んでくださってありがとうございますー! (2021年2月12日 12時) (レス) id: 81a8bcf75d (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 今日も今日とて推しが尊い…! (2021年2月10日 0時) (レス) id: c6603d0c65 (このIDを非表示/違反報告)
ねむこ(プロフ) - 晶子さん» はじめまして!コメントありがとうございますー!記憶したい!?!そこまでですか〜!?感謝です... (2021年1月17日 0時) (レス) id: fdabd54cfd (このIDを非表示/違反報告)
晶子 - 初めまして!何ですかこの神作品は!?最高です( ; ; )何度も読み返してしまいます。。!!もう記憶してしまいたいくらい!! (2021年1月15日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
ねむこ(プロフ) - 沙希さん» こちらこそありがとうございます...!!!!!!長編なので大変でしょうけど最後までよろしくお願いします...! (2021年1月10日 13時) (レス) id: fdabd54cfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねむこ | 作成日時:2020年10月28日 8時