あなたが、【煉獄杏寿郎】

あなたと涙 ページ14

「では！いってくる！お邪魔した！」

『うん、いてらっしゃい。気をつけてね』

「ああ！戸締りはきちんとするんだぞ！」

『うん、ありがとう」


見回りに戻るという彼は私に背を向けて歩き出す。
その背中を見送る。

背中を見ながら自然と涙が流れる。


そりゃあそうだよな、今までこの関係に甘えて
何も努力をしてこなかった。

好きな人がいるだけなのに、恋人がいるわけじゃないのに涙が止まらない。


叶わない。


彼にあんな素敵な顔をさせるのだ。


その場にしゃがみこみ、滲む地面を見つめる。
惨めだ。すごく、今の私は醜い。

心も、すべて。



暫くたって涙がある程度止まってきたところ、家の中に入る。
しっかり戸締りをし、お腹は減っていなかったため、身体を拭きに行く。

銭湯は明日行こう。

この状態で行けたもんじゃない、


身体を拭きながら今日のことを考える。


今日は色々ありすぎて疲れた。

寝巻きに着替え、いつもの煎餅布団をしき、身体をすっぽりと毛布で隠す。



朝、どんな顔してあえばいいか分からない。

明日なんて来なければいい。


なんて子供のようなことを考える。

だってまだ、子供だ。
大人なんかじゃない。


年齢を重ねると自然と大人になると思っていたが、そんなことは無かった。


心はまだ、子供のままだった。

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