これが（す）です。 (ページ9)

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kj×sk ページ9

: はんぶんこ

(kj)

バラエティの収録でうまくいかなかった

周りの芸人さんがフォローしてくれたし、
〝そんなへこむなよ～？〟なんて声をかけてくれた

でもへこむなよって言われても、心はそうもいかなくて

「はあ、しっかりせんと」

恋人の佐久間くんが待つ家の前で
ふうっと息を吐いて笑顔を作る

「ただいま！」

部屋の奥からどたどたと足音が聞こえて

佐久間くんが俺の顔を見ればニッコリ

『おかえりいーこおじー』

「んふふ、ただいまあ」

ぎゅうっと抱きしめてくれる佐久間くん

さっきの事も忘れてしまいそうなくらい力いっぱい抱きしめ返すと〝くるしー〟と言った

「ごめんごめん」

『いいよお、充電できた？』

「うん、できたで！ありがと！」

『よかった。ご飯作ったよ！食べよ！』

俺はきっといつも通りなはず

癒しをくれる佐久間くんに気づかれなければそれでいい

みんなフォローしてくれたのに

なんでうまくいかなかったんやろ

気づけば頭の中でぐるぐると今日の事が思い返される

『…うじ！こーじ！！』

「うわっ、ごめん、何？！」

佐久間くんは俺の顔を覗き込んでムッとした顔をした

「ごめんな、ちょっとぼーっとしてたわ」

『うーん、そういうことじゃない！』

「え？」

いきなり頬を両手で潰すように挟んできて

「なにぃ」と聞くと佐久間くんはため息をついた

『俺気付いてるからね！』

「え、何をや？」

『こおじが帰ってきた時から悲しそうな顔してるの！気付いてたの！』

「…え、まって、そんなん…してへん」

佐久間くんの言葉に驚き過ぎて思わず目が泳ぐ

こんなかっこ悪い俺を見て欲しくなかったのに

『もーーほんと康二ってばかだね？』

「なんでよ…」

彼は俺の膝の上に乗って向かい合わせになった

するとおでこをくっつけてくる佐久間くん

『恋人なんだから、わかるに決まってるでしょ？』

そう静かに呟いてぎゅっと腕が首に巻きついてきた

「佐久間くん…」

『俺の事頼ってほしいよ、康二の事大好きなんだもん』

勘違いをしてたかもしれない

恋人だからこそ、そして佐久間くんが年上だから
迷惑かけたくなくて弱みは見せないって

でも違った

『何かあったらはんぶんこしよ』

「…うーーありがとう…！」

そう言って佐久間くんを見るとニッコリ笑ってて
俺もつられて笑顔になった

『こおじの事笑わせてあげる！』

恋人なんだから、

はんぶんこ