これが（す）です。 (ページ1)

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mm×ab ページ1

: こんな日があっても良いよね

(ab)

『阿部ちゃん終わったよー』

「んー帰ろっか」

全員での雑誌の撮影

最後にインタビューを順番にして、
俺は終わった目黒に声をかけられた

『クイズやってたの？』

「うん、良い暇つぶしなんだよね」

一緒の家に帰るんだから、

俺は先に終わっていたけど〝楽屋で待ってる〟とだけ伝えて約1時間

メンバーはどんどん帰宅していって残ったのは俺だけだったし、恋人を待つのなんてお安い御用

「ねえ、電車乗って帰らない？」

特に理由はないけど、今日はそんな気分な気がしたから

アクティブな目黒は嬉しそうな顔をしてくれた

『お、いいよ、マネージャーに近くの駅でおろしてもらおう』

〝気をつけて帰ってね〟

「『ありがとうございました』」

ニッコリ笑ったマネージャーにお辞儀をして

久々に駅の中へ入った

『なんかたまにはいいよなー』

「でしょ？なんか今日はそんな気持ちだった」

最近あまり使ってなかったICカードをピッとして

ホームの階段を上る

夜の9時頃だし帰宅ラッシュも過ぎているようで
ホームは閑散としていた

「あ、ちょうど来たよ」

時間なんて調べてなかったけど運良く電車が来て
目黒に手を握られて乗り込む

静かな電車の中は俺たちに気付く人もいなくて、
安心しつつも本心は少し寂しい

『今日は金曜か』

「ああ、みんなお疲れだね」

『ね、』

きっとこの人たちは俺たちとは正反対の仕事をしていて、外回りをしていたりデスクワークしたり、きっと大変なんだろうな

そんな中コソコソ話すのも気まずくて、2人でドア側に立って窓を眺めた

「あっ、」

『目合ったね』

「ふふ」

夜だから窓の外は見えなくて、
ドアの中の目黒と目が合った

「なんか恥ずかしい」

『なんでだよ』

ドアの中の目黒もイケメンだし。なんて考えているとあっという間に最寄駅

(皆さんお疲れ様)

電車の中にいる人たちに心の中でそう言って

外に出ると見慣れた景色

「コンビニでアイス買いたいなー目黒くんー」

なんか今日は特別な感じがするし
特別美味しく感じそうだし

『そんな可愛く言われたら断れません～』

「やったあー」

なんだかデートみたい

『俺メシ買お』

「そう言われるとお腹空いてきた」

たまにはね、

「こんな日があっても良いよね」

そう言ってちらりと目黒を見ると、

決してこっちは見ないけど微笑んで頷いていた