私小児科医なんですけど。 Ryohei.A

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阿部side




と、呑気に考えていたのも束の間、目の前には例の銀色のトレーとそれを持ったA。



阿「え、」


「何？嫌とか言わせないけど」


阿「なんで、え？今日も注射･･･？」


「それ以外ある？」


阿「やだ、待って無理、！この前頑張ったじゃん、」


「この前はこの前。今日は今日。」



そんなことを言えば、他は他、うちはうち、みたいな台詞が飛んでくる。



「あ、そーだ。知ってる？」


阿「な、なに････」


「ちっちゃい子ってね、注射目の前にするといい子になるんだよ」


阿「うん、だから･･･？」



Aの言ってることが良くわかんない。



「亮平5歳なんでしょ？」


阿「はぁ？」


「この前言ってたじゃん。俺が5歳だったら？って」


阿「俺子どもじゃないし」


「ま、そんなのどーでもいいんだけどね」



結局どーでもいいんかい。


Aが注射器のキャップを外し、俺の方を向く。



阿「絶対痛くしないでね、」


「無理でーす」


阿「じゃあやだ、」


「優しくしてあげるよ。ゆーーっくり打ってあげる」


阿「絶対やだ、意地悪！」


「はいはい、大人しくしようね亮平くん」


阿「やだ、ホント無理･･･！」


「すぐ終わるって、」



嘘つき。この前すぐじゃなかったじゃん！！

絶対やりたくない･･･！！




そんな俺の思いは届かず、布団から腕を引き出された。

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