ずっと、もっと。 (ページ33)

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松田side

「うー…さむ」

泣き疲れて眠ってしまったAさんを
起こさないようにそっとベッドから抜け出し
ベランダに出る

あの辺が大学かなーなんて考えながら
ぼーっとAさんの家のベランダで
外の景色を眺めるのはこれで2回目だ

1回目は半年前。

はじめてAさんと
＂そういうこと＂をした次の日。

何事もなかったかのようにサークル室に行くと
海人さんがゲームを1人でゲームをしていた

『…元太』

『なんですかー？』

『昨日、A大丈夫だった？』

少し、探りを含んだ問いに、
目を合わせないまま答える

『普通に意識はあったので、
家を教えてもらって送って帰りましたよ』

意識があったのは本当。

あったからこそ起こってしまった出来事は
Aさんのためにも言わない

『…そっか』

安堵のようなその声に

普段はバカと言われている俺の変に鋭い勘が働く

『もしかして海人さん、
Aさんのこと気付いてたりしますか？』