ずっと、もっと。 (ページ13)

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「…でさ、社会人っていうのは理解してるけど
会ったら最近仕事の愚痴ばっかでさ～…」

「そうなんだ、怜奈さんも大変なんだね」

プレゼントを買い終わり
カフェでケーキを食べながらひたすらに
幸せを含んだ怜奈さんの愚痴を聞く

分かってたけど私が聞きたかったのは

彼女の話じゃなくて、

＂洋服新しいの？＂とか＂髪色変わったね＂とか

そういうことだったのにと思いながらも

私はうみにとって＂いい親友＂だから
にこにこした笑顔で聞くの。

高校の時、友達と＂切ないね＂なんて言いながら
聞いたバンドの曲にも同じ歌詞があったなと思い出す

あの時は、隣で好きな人の悪口を聞くような
可哀想な女になんか絶対にならないと、

友達と聴きながら内心思っていた

「そういやA、」

じっとうみが私を見つめる

「な、なに？」

私の顔めがけてうみが手を伸ばす

思わずぎゅっと目を閉じる

「ん、とれた！」

「へ、」

「まつげ、ついてたよ～」

「あ、ありがと…」

「そろそろ帰ろっか、今日まじでありがと」

お礼と言っては何ですが～なんて言いながら
伝票を持ってうみが歩き出した